今日29日から2日間の日程で行われる「日本プロゴルフグランドシニア選手権大会」。出場資格は1963年12月30日迄の出生者で、つまり今年で60歳以上となるゴルファーの日本一決定戦となる。尾崎直道や倉本昌弘、加瀬秀樹といったレギュラーツアーの第一線で戦ってきた選手に混じり、ティーチングプロとして活動してきた新井真一が初出場する。
新井も若いときにはレギュラーツアーやアジアンツアー、アメリカのミニツアーの出場経験がある。しかし2002年以降はレッスン業に専念してきた。ゴルフ雑誌などのメディアで新井の姿を見たことがある人もいるだろう。現在は一般アマチュアやプロゴルファーの卵を教えるほか、ゴルフスクール運営のサポートや、団体戦で行うPGAジュニアリーグの千葉県のディレクターも行っている。
新井は5月に行われた「関東プロゴルフグランドシニア選手権大会」で有資格者を除く30位以内(26位)に入り、今大会の出場権を獲得。15年には「日本シニアオープン」出場の経験もある新井が、なぜ再び競技に出ようと思ったのか? 「いまはレッスンとジュニアのサポートをしているんですけど、やっぱり自分も競技を経験することで、いろんな話ができるんじゃないか」というのが理由の1つ。競技に出ることで、レッスンの引き出しを増やすのが狙いだ。
もう1つの理由は、いま新井が取り組んでいるメンタルトレーニングの実証。「今年になってから週1回ずつメンタルトレーニングの講義を受けていて、そういうのも試しています。関東グランドのときに、教わったことをやってみたら、ちょっと違う感じがつかめてきた」と話す。
新井が行っているメンタルトレーニングの一例は、いまある状況を受け入れること。「試合のときは『このバーディを入れたら』って考えると思うんですけど、それって今に集中できていないんです。打つときには必ず深呼吸して、体の一部に意識を持っていく。僕は足の裏にしたんですけど、とにかく今に集中することです」。そんなことをプレッシャーのかかる試合の中で実践している。
また、同組のプレーヤーがパッティングをしている最中に、自分のラインを読むのもやめた。「イメージトレーニングはあまり長くやると良くないと教わって、他の人が打っている間は持っているボールを見たりしています。イメージしている時間が長いと、余計に入れなきゃと思ってしまいますから。そろそろ自分の番だなと思ったら、ラインを読んで構えて打ちます」。
そしてボギーを打ったときは引きずらずに靴紐を結び直したりして切り替える。「ずっとそういうことをしないできたから、面白いし楽しいと思える(笑)。自分が感じたことをお客さんにもお話しできる」と、自分自身でメンタルトレーニングを試し、役立つものは生徒たちに教えたいという思いもある。
だからこそ結果も残したい。「いつも応援していただいているから、たまには先生も頑張ろうかなと。レッスンの信憑性も出てきますから」。そして成績の目標について聞くと「できればベスト10くらいに入りたい」という答えが帰ってきた。60歳以上の日本一を決める大会で、ゴルフの“先生”がレギュラー時代から活躍してきた猛者たちに挑む。