明後日30日に61歳の誕生日を迎える久保勝美が、いま全盛期を迎えつつある。2021年、22年シーズンは何とか賞金ランキング30位以内のシード権を確保。それが今年に入ると、5月の60歳以上で争う「関東プロゴルフグランドシニア選手権大会」の優勝に始まり、今月の「コマツオープン」では最終日に逆転して、15年以来となるシニアツアー2勝目を挙げた。その翌週の「日本シニアオープン」では9位に入り、現在の賞金ランキングは6位。そして今週は「日本プロゴルフグランドシニア選手権大会」が行われる和歌山県の南紀白浜ゴルフ倶楽部に乗り込んできた。
「シニアオープンから帰ってきてから、メールもお花もお祝いとかもすごかった」。この2週間のオープンウィークは、地元・埼玉県の滑川町の町役場に行き町長に優勝報告をしたり、所属先の会長やスポンサーに挨拶回りをしたりと、多忙な日々を過ごした。そのため、大会前日の練習ラウンドが「シニアオープンの最終日以来」という久しぶりのゴルフ。その感触は「あまりよくない」と話す。
そんな中でも好材料はある。明日の初日はツアー仲間で同い年の崎山武志と同組になったのだ。「関東グランドで優勝したときも、コマツの最終日も崎山と同じ組だったんですよ」と笑顔。今季は崎山と回ると、不思議と優勝できている。
久保が60歳にして好調の要因は、「腰痛」と「マネジメント」。7月に男子、女子、シニアが同じ舞台で競う「夏祭り・ISPS HANDA ミックストーナメント! 太平世クラブ御殿場ウエスト」に出場したとき、レギュラーツアーの若い選手たちと回った。「みんなすごい飛ぶから、大会が終わって僕も調子が良いので、ブンブン振り回していたら腰を痛くして(笑)」と腰痛を発症。それ以来、キャディバッグのなかには腰痛ベルトが入っている。そこで成績が上向いたのは、ショットの練習ができないぶん、課題のパット練習に時間を割くことができたからだ。それで「パターが良くなった」という。
そして「今はマネジメントも無理をしない。バーディを獲るのではなく、ボギーを打たないようにやっている」。その結果、コマツオープンでは3日間を通してダブルボギーが最終日に1つあっただけで、初日、2日目はボギーなしのラウンドで優勝。関東グランドでも、最終日は1イーグル・6バーディ・ボギーなしの「64」をマークして逆転優勝を果たした。「ピンを攻めたくても、あえて我慢」。グリーンセンターを狙ってボギーを避ける作戦を徹底し、「たまにバーディ」というゴルフがうまくいっている。
昨年大会は初出場で3位。シニアツアーの賞金ランク6位は今大会出場選手のなかで最上位に位置する。久保が優勝候補筆頭と言っていいだろう。「やっぱり歴史に名前を残したい。カップがでかいし、そこに名前が刻まれるしね。ひそかに狙っています」。誰もが欲しい日本タイトル獲得へ、久保は静かに燃えている。