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グランドゴールド

【日本GGユニテックスHD杯/FR】室田淳は妻の実家近くの「好きなコース」で、日本シニアタイトル4冠を達成

2023年10月01日

和歌山県の南紀白浜ゴルフ倶楽部を舞台に2日間競技で行われた「日本プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権大会」は全日程が終了。68歳以上(1955年12月31日迄の出生者)で競うゴールドの部は、昨年のグランドの部を制している68歳の室田淳が、後続に3打差をつけるトータル9アンダーで優勝した。


これで室田は「日本プロシニア」(05、09、12、15年)、「日本シニアオープン」(11、13年)、「日本プロゴルフグランド」(18、20、22年)、そして「日本プロゴルフゴールド」と、シニアの日本タイトルグランドスラムを達成。「大変よくできました」と室田は空中に手で“はなまる”を書いて白い歯を見せた。



大会最終日は、ともに4度のシニアツアー賞金王に輝く室田淳と73歳の高橋勝成の一騎打ちだった。初日にトップタイで並んだ2人は5アンダーでスタートし、出だしの1番で室田がバーディ、高橋がボギーとして、室田が試合の主導権を握る。その後も室田は5番、6番、10番と着実にバーディを重ねていき、対する高橋は、ボギーが来てもすぐにバーディを獲り返すゴルフで追いすがった。


勝負のポイントとなった12番パー4のティイングエリアに立った時点で、室田はトータル9アンダー、高橋はトータル7アンダーと2打差。高橋はティショットを右のフェアウェイバンカーに入れると、セカンドはハーフトップのミスで、3打目は65ヤードが残った。ここで「うまく入ったつもりが、グリーンが硬かった」と再びミスが出て、ボールはピンよりもだいぶ奥に乗ってしまった。そこから3パットと、大事なところでダブルボギーを叩いた。



この時点で差は4打に開き、「これで勝ったと思った」と室田。しかし、「50センチもない」パーパットを外してボギー。これをきっかけに「手が変な動きをする」と、室田のパッティングがおかしくなる。高橋も「病気みたいなのが出てきた。短いやつがね」と異変を察知した。



14番パー5で高橋がバーディを獲り返して、再び2打差に。室田はチャンスにつけながらも「手が動かない。短いバーディパットをボロボロ外した。どこに乗っても2パット」と、思うようにならないパッティングに苦しみ、パーを並べていく。



そして迎えた17番パー3では、室田のティショットはグリーン奥のエッジ、ピンまで10メートルのところで、「どうやったら寄るのかな」とボギーも覚悟した。「次も外しそうだなと思いながら打った」。そのパターでの2打目がカップイン。値千金のバーディで高橋との差を3打に広げ、勝利を確信した。最終18番パー4では2メートルのバーディパットを打ち切れずに苦笑い。パーで締めて優勝を決めた。



昨年のグランドの部、そして今年のゴールドの部と、変則的な連覇を達成した会場はいずれも南紀白浜ゴルフ倶楽部。室田は群馬県の生まれだが、このコースとはなじみが深い。妻の真奈美さんが三重県熊野市出身でコースまでは100キロ弱と近いのだ。毎年3月には「暖かいから」と友人たちと一緒に回るのが恒例となっている。「オーソドックスで雄大でいいコース。好きなコースですよ」と話す。



また、今年は5月の「関東プロゴルフゴールドシニア選手権大会」に出場したため、規定により60歳以上の日本一を決めるグランドの部にはエントリーできず。室田はその規定を知らずに“グランド連覇”の可能性を自ら潰してしまった。『公式戦優勝者』や『過去5年間の日本プログランド・ゴールドシニア選手権大会の優勝者』など、複数の資格を持つため、グランドの部、ゴールドの部、どちらに出場することもできる。来年は?と聞くと、室田は少し考えた後、「そのときになったら考えるよ」と笑った。



次戦は10月5日に開幕する公式戦、「日本プロゴルフシニア選手権」に出場する。「普段のシニアの試合と同じように自分の力が出せればいい。だけど体がボロボロで多分出せないのよ」。そんな控えめなコメントを残しつつも、インタビュー後はパッティング修正のために、練習グリーンに直行した。そんなところが、シニアツアー通算20勝、そして18年連続で賞金シードを守り続ける強さの秘訣なのかもしれない。