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【ドゥ.ヨネザワ企業G杯 関西グランド/FR】雨風に耐え、山住晶彦が60歳を目前につかんだプロ初優勝

2023年05月18日

 くまもと阿蘇カントリークラブ湯の谷コースで18日に行われたドゥ.ヨネザワ企業グループカップ 関西プロゴルフグランドシニア選手権大会の最終ラウンド。グランドの部は1オーバー12位から2アンダー70ストロークで回り、通算1アンダーとした浜田節夫(62)が首位に躍り出る。最終組でスタートした2アンダー2位のグランドルーキー・山住晶彦(59)が73ストロークで通算1アンダーとし浜田と山住がプレーオフ対決へ。

 プレーオフ2ホール目で浜田がダブルボギー、山住がボギーとし決着。山住が初優勝を飾り、優勝賞金20万円と9月に和歌山にある南紀白浜ゴルフ倶楽部で行われる日本プログランドシニア選手権の出場資格を獲得した。日本グランドには、シード選手を除く上位17名が進出することになった。

 雨風の強まる過酷な状況で、選手がスコアを落とす中、優勝したのは山住晶彦。プロ入り35年目での初優勝に「まさかの優勝で・・・びっくりしています」と驚きを隠せない。研修生時代(昭和62年)にマルマン全国大会で優勝して以来の快挙に、本人は夢心地だった。

 実は5年前、ゴルフでは生活できないとサラリーマンに転身。過度のストレスを感じたことで心筋梗塞を患い入院したという。首の血管を心臓につなげるバイパスの大手術で、入院と安静を余儀なくされた。さらに昨年3月には脳梗塞で倒れてしまい、医者から麻痺が残ると言われたが、懸命にリハビリを続け、ようやく普段の生活に戻るまでに至ったという経緯がある。今年の6月で60歳という節目を前に「これがプロゴルファーとして挑む最後の試合になる」と関西グランドシニアへの参加を決め、今回出場にこぎつけた。「2日連続のゴルフで、完走することが目的でした。ゴルフができる体に感謝しながら無我夢中でプレーしました。だからいきなりの優勝に、どうしていいかわからないんですよ」と戸惑いを隠せない。

 最終ラウンドは2アンダー2位グループで最終組でのスタート。1番スタートホールでバーディーが先行したが、前半は2バーディー、2ボギーとスコアを伸ばせない。風も強まってきた後半に入り、13番パー4でショートゲームを空振り。このホールをダブルボギーにしたが、17番パー4では外からのアプローチが入り、このバーディーで首位に並んだ。73ストローク、通算1アンダーとしてつかんだプレーオフの権利だった。

 プレーオフ1ホール目(10番ホール)。浜田は60センチほどのパーパットを決めきれずボギーにしてしまい、山住もボギーでこのホールは分ける。2ホール目(9番ホール)。浜田のティーショットは深いラフへ入ってしまい、ゲームを難しくさせてしまった。山住は「チャンスがある」とフェアウェイからのセカンドショットを慎重に進め、浜田がグリーンオンにてこずる一方、山住はしっかりと勝機を伺い、ボギーパットを外した浜田の後で、パッティングを沈めて決着。6メートルもの風と雨の降りしきる中、最後まで粘り強くプレーを展開し、山住は「優勝」のタイトルを手中に収めることができた。

 「ゴルフを続けられるかどうか試金石となる大会だったのですが、60歳という節目を目前に優勝できて、とにかくびっくりしています。2人の息子も大学院と大学を卒業させることができましたし、ようやく自分の好きなゴルフを続けてもいいのかなということなのかもしれませんね」と頬を緩ませた。今後の目標は「シニアツアーに挑戦することと、飛距離を取り戻したいです」と表情も明るい。8月のシニアツアー1次予選会、そして9月の日本プロゴルフグランドシニアでの活躍に期待がかかる。