くまもと阿蘇カントリークラブ湯の谷コースで18日に行われているドゥ.ヨネザワ企業グループカップ 関西プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権大会の第1ラウンド。グランドの部では西口稔(64)が3アンダー69ストロークで首位と好スタートを切っている。2アンダー2位グループには森広柚貴(60)、山住晶彦(59)、松永一成(61)、白石達哉(61)が続く。前年覇者である伊藤正己(67)はイーブンパーで回り7位タイと逆転を狙う位置につけている。
西口稔が69ストロークで回り、2005年の兵庫県オープンで優勝して以来、初タイトル獲得に向けて好スタートを切った。スタート10番パー4でティーショットを右に曲げて木の下からようやく出すだけの状況でボギー発進。それでも11番パー3(140ヤード)では8番アイアンで2メートルに着けてバウンスバックに成功。17、18番と難しいホールでのマネジメントが成功し連続バーディー奪取。ハーフターン後の1番パー4ではティーショットを右ラフに入れたが、残り115ヤードをピッチングで1ピンの距離につけ3連続バーディー。続く2番でボギーとスコアを落とすが、3番パー5は2オンに成功しバーディーを取り返す。チャンスを伺いながらも最後まで耐えるゲームを続け、この日はアンダーパー6名の最上位に着けられた。
大会前日の練習ラウンドでは難グリーンに苦戦。3パットに打ちのめされ「カップが小さいよね」と悔しさをにじませていた。そのイメージを払拭すべく、この日はパッティングのタッチをショート目で合わせようと決めたところ「パターがよう入ってね、今日のカップは大きかった」と満面の笑みを浮かべた。
昨年11月に行われたティーチングプログランドシニア選手権では、伊藤正己に敗れて2位に終わっている。「2位ほど悔しいものはないです。(所属する)浜寺ロングゴルフに吉報を持って帰りたい」とリベンジを誓っていた。
2アンダー2位グループに着けたのは、福岡国際カントリークラブに所属する白石達也(61)。関西グランドシニアは初参加だが、開催コースのくまもと阿蘇CCには九州地区の月例会に参加して以来の40年振りとなる来場になった。
「当時と変わらず難しいコースでした。いくらグリーンに近い距離でも、フェアウェイじゃないとチャンスにつながらないですし、50、60ヤードという距離をやわらかく止めるウェッジが打てないとスコアメイクができない」と口元を引き締める。スタート10番をボギー発進にしてしまったが、14番パー5ではガードバンカーから2メートルに着けてバーディーでスコアを戻すと、17番バーディー、18番パー5(470ヤード)では、ティーショットの置き所が難しいマネジメントでもドライバーを選択。スロープを利用しセカンド残り140ヤードに着けて、このホールでもバーディー。後半は2バーディー2ボギーとスコアは伸ばせなかったが、最終9番ホールまで満足のいくプレーを見せて、アンダーパーでまとめることができた。
「昨年グランドシニアとして出場することは可能だったのですが、精神的に試合へ参加する気持ちにならなかったんです」と白石は心中を吐露した。先輩プロからも一緒に出場しようという前向きな言葉もかけてもらいながら、少しずつ練習も重ねてきたという。「最終日も良い流れで自分のプレーをしたいです」。2012年にシニアツアーへ参戦してから毎年トーナメントに出場を続けている白石にとって、今回の関西グランドシニアは復活への布石となる。
2アンダー2位グループに着けた4名のうち、6年振りに試合に参戦したという選手が松永一成だ。レギュラーツアー、シニアツアー参戦経験を存分に生かして、グランドシニアまで順風満帆な人生を歩んでいる、というわけではないようだ。「2012年から16年までの5年間、シニアツアーでやり切りました。それから練習は続けていたのですが、試合にかける情熱を失ってしまったんです」と松永は振り返った。
第1ラウンドを振り返ると、前半は2バーディー1ボギーで回り、後半1番パー4でセカンドを50センチにつけてバーディー。それ以降「ドライバーで飛ばさなくてもいいかなって。フェアウェイに置いてといったマネジメントとちょっと消極的だったんですよね。ショットは気持ち曲がり始めました」と、緊張の続くホールが続き、スコアは伸ばすことができなかった。それでも2アンダー2位グループは優勝圏内。逆転する絶好のチャンスを作ることができた。
「情熱を失っていたところでしたが、ふとこの大会の案内を手にしたときに、試合に向き合ってみようかなと気持ちが動いたのです。エントリーしてからの一か月は、失われていた体力を少しずつ取り戻そうとプレーの中で200ヤードでも走ったり、所属している宇部72CCの研修生と一緒に練習したりと生活が回り始めました」。松永にとっては、久々に味わう精神的な充足と達成感が心地いい様子。
「好位置にいますし、しっかりと最終ラウンドも頑張り抜きたい」と前を向き、第1ラウンドの良い手ごたえのまま、8月のシニアツアー一次予選会、そして9月に開催される日本プログランド出場を新たな目標に掲げた。