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〈関東グランドシニア・FR〉久保勝美が64をマークし大逆転!目標だったノーボギーゴルフで関東グランド初優勝

2023年05月24日

 箱根湖畔ゴルフコースで24日に行われた関東プロゴルフグランドシニア選手権大会の最終ラウンド。1アンダー8位からスタートした久保勝美(60)が1イーグル6バーディー・ボギーフリーで64をマークし通算9アンダーで大逆転、グランドシニア初優勝を飾った。1打差2位には比嘉勉(59)、さらに1打差の3位に67をマークした前年覇者の崎山武志(60)がランクイン。9月に和歌山県の南紀白浜ゴルフ倶楽部で行われる日本グランドシニアには、有資格者を除いた上位28名が進出することになった。 

 久保勝美が最終ラウンドで首位を走る比嘉を押さえて、相性の良い箱根湖畔ゴルフコースでグランドシニアのタイトルを獲得した。「不安要素はたくさんありました。まずグリーン上でラインと傾斜が読めない。利き目の右の視力低下と乱視がひどいんですよ」と苦悩を明かす。パッティンググリーンではある工夫をしてみた結果、功を奏したようだ。

 首位とは3打差の1アンダーグループからスタート。久保は優勝したいという欲よりも、自分のゴルフをどう掴んで、どう次に生かすかに徹することにした。先週出場したマイナビシニア&レディースでのプレー数を加えて5連続でラウンドをこなしていることになるが、体の疲れよりも、今自分にとってどんなプレーができるかだけに集中していた。同スコアで同組でプレーすることになった気心が知れているタイトリスト3兄弟であり前年覇者でもある崎山武志の存在があってこそ、最終ラウンドは集中力を高めることができた。

 久保はスタート直後の1、2番で連続バーディー。課題のパッティングもなんとかしのぎながら、前半は34ストロークで後半へ。比較的ヤーデージは短めだが、経験則が生きるコースマネジメントを武器に、10番パー4ででバーディーを獲ると、13番パー4(300ヤード)ではワンオンに成功。10メートルのイーグルパットを決めて猛チャージを仕掛ける。15番パー5でもバーディー。この時点で首位の比嘉と1打差まで追い詰める。ショット、パットともにギアをあげてきた久保は17番パー4でピン手前から4メートルの距離をしっかりと決めてバーディーとすると、最終18番パー5ではセカンド残り245ヤードを3番ウッドを使用し2オンに成功。2パットに収めて2連続バーディーフィニッシュを飾り、通算8アンダーとして後続グループのホールアウトを待った。

 最終組首位でスタートした比嘉が17番をボギーとしたことで、最終18番ではバーディー以上のスコアが求められた。比嘉はサードのアプローチショットがディボッドにはまり苦戦し、このホールをパー。64をマークした比嘉が堂々の関東グランドシニア優勝、第44回大会のチャンピオンに輝いた。

 久保が言う課題だったパッティング。ラインが見えない、読めない、傾斜もわからないという三重苦をどう克服し始めたのだろう。「ボールにラインを引いているのですが、自分が思うラインに、ボールのラインが利き目の右寄りに向いていたのです。自分では気づきにくいことなので、練習の時には仲間にチェックしてもらっていたのですが、この視覚と感覚のバランスが難しい。今回はそのあたりを気にかけて、左に向けてボールをセットするようにしていました」と説明した。

 それに加えてグリーンリーディングのルーティーンに少しだけ時間を割くようにした。これまでは「カップとボールのラインは、パッとみて感覚的に判断した方が、正解の方が多い」と思っていたが、現状の視力では、さすがにグリーンから得られる情報が少ないので「同組の打つラインを分析すること、そして自分のラインに対して一周することにしたんです」と久保は新しい試みをしたという。適度な情報が得られたので、それ以上の迷いや不安は少なくなったのかもしれない。

 「10年前に箱根湖畔で優勝できているので、コースとの相性が良いのだと思います。当時は比嘉さんとプレーオフで勝ったのですが、もしプレーオフに持ち込まれたら、勝負の行方はわからなかったです。ただ、今日はおふくろの命日だということを思い出して・・・。自分のゴルフで目指してるのはノーボギーなんです。ノーボギーで優勝できたことは、本当に嬉しい。優勝するときは、見えない力が影響するのかもしれませんね」と喜びをかみしめた。

 最後に「プレーヤーそれぞれに、色んな持ち味がありますよね。ひとつの場所からプレーするパターンがたくさんあるということに、今回は改めて気づかされました。カップインするまでには様々なプロセスがあって正解はない。ただ、シニアツアーに出場させてもらっている以上、多種多様な技をファンの方に見てもらいながら、スコアにつなげないとなりませんから。大変な仕事ですけど、やりがいは大きい。この優勝を糧に、技を磨いていきたいです」と、久保は笑顔で大会を締めくくった。