最終ラウンドを4アンダー首位スタートした比嘉勉(59)は、6ホールを終えたところで1オーバーと苦戦。第1ラウンドでは同じく6ホールで4アンダーだっただけに、口数も少なく雰囲気も重くなっていった。前半終えたところでスコアを1つ伸ばせただけだったが、同組2位発進の清水もイーブンパーで、全体のスコアは伸び悩んでいたという。
後半に入り、比較的短くバーディーチャンスのホールが続くのだが、最終組の3組前をプレーしていた1アンダー8位グループが、猛チャージをしているという話を耳にする。15番を終えて崎山武志が5つ、久保勝美が6つスコアを伸ばして優勝争いに絡んできたという。比嘉も負けじと16番まで4つのバーディーを獲り首位を譲らなかった。
一方で、アプローチ以外は絶好調だったという久保が、上がり2ホールで連続バーディーを仕留めて64をマーク、通算9アンダーでトップに。一方の比嘉は、久保がスコアを伸ばしたことを知り、気持ちの上でもプレッシャーがかかっていた。17番パー4のティーショット。ドライバーで打った球は右の木がスタイミーになるラフへ落ちて、このホールをボギー。比嘉は「この時のクラブ選択が敗因」と振り返る。1打ビハインドで挑んだ最終18番パー5。60ヤード程のラフからのアプローチはなんとディボッドにはまっていて、グリーンになんとか運んだだけになってしまった。10メートルのバーディーパットが外れて、優勝タイトルは久保の手に渡ってしまった。
比嘉はホールアウト後「腹立つなぁ(笑)。優勝に絡んでない組だと思って、真剣にやらなかったんじゃないの(笑)?まあ、昨日の公約通り68では回ってきましたよ」と肩を落とす。ちょうど10年前にISPSグローイング シニアオープンハンダ熱血シリーズ第5戦で、比嘉と久保はプレーオフまでもつれ込んでいるが、1ホール目で比嘉がティーショットを右の林に打ち込み久保が勝利。比嘉にとっては、当時のプレーオフで惜敗したリベンジを果たしたかった悔しい思いの残る一日になった。
最終ラウンドは首位1打差の2位タイからスタートした小田教久(61)は「最終日最終組でプレーできて本当に嬉しいです。シニアツアーの現役選手でもある清水さんは、いろんな技も持っていて本当に上手。こんな良い緊張感の中、一応アンダーで回れて最高でした」と充実感を漂わせた。4バーディー・3ボギーの71とし、141ストローク通算4アンダー5位タイには満足の結果だ。
小田と同じく3アンダー2位からスタートした注目のグランドルーキー・清水洋一(60)は、5番パー4でダブルボギーとしたことで、流れを作ることができなかった。5バーディー1ボギー、1ダブルボギーで70にとどまり、139ストローク通算5アンダー4位に終わった。「自爆しちゃいましたね。パッティングの精度をもうちょっと上げたいです」と課題もある。「来年はタイトリスト3兄弟が順番に優勝できるように、頑張ります」と前を向いたのだった。