シニアツアーは今週の鹿児島大会「いわさき白露シニア」が最終戦。賞金王の可能性は宮本勝昌、プラヤド・マークセン(タイ)、藤田寛之の3人に絞られた。マークセンが獲れば、2年連続5回目、宮本と藤田には初めてのシニアツアー賞金王がかかる。
現在の賞金ランキングを見ると、宮本勝昌が3811万2500円でトップ。マークセンがおよそ『331万円差』の3479万9666円で2位、藤田がおよそ『829万円差』の2982万4547円で3位につけている。
今大会の優勝賞金は1200万円。そして2位480万円、3位264万円、4位240万円、5位216万円(いずれも単独の場合)…と賞金が配分される。それらを踏まえて、賞金王の戴冠条件を整理すると、マークセンは今大会で優勝すれば宮本の成績に関係なく賞金王が確定。もしくは単独2位に入り、宮本が9位以下なら2年連続のタイトルを獲得する。そして、藤田は優勝する以外に逆転賞金王の道はない。たとえ藤田が優勝しても、宮本が単独2位で終えれば賞金王の目は消える。これらの条件以外であれば、宮本の賞金王が決定する。
圧倒的有利な状況にいる宮本は「優勝してアメリカのQTに行く。僕のなかではあと2つだけ。まず今週優勝するのが目標です」ときっぱり。今大会のあとは、米国シニアツアー、PGAツアー・チャンピオンズの来季の出場権を目指し、12月5日に米国で開幕する「QTファイナルステージ」に挑戦する。
それに弾みをつけるためにも、1つでもいい成績で終えたいところ。昨年はトップと4打差のトータル7アンダー・7位タイで終えているが、「このコースはあんまり良い成績が出ていないので、いつも苦戦しています」と話す。特にグリーンが読みづらく「芝目を意識して良いのか、傾斜だけなのか、読みにくい」と警戒している。
一方のマークセンは「賞金ランキングはあまり気にしてない。1番でも2番でもかまわない」と2年連続賞金王にそこまでこだわってない様子。そのうえで昨年は2打差の4位タイに入った大会には「明日は風が強い予報なので、一生懸命頑張ります」と意欲を見せる。
3人のなかでもっとも賞金王への望みが薄い藤田にとって今大会は初出場。しかし、いぶすきゴルフクラブは2004年までのレギュラーツアーの「カシオワールドオープン」、19年には「日本プロゴルフ選手権」の舞台にもなっており、知らないコースではない。その日本プロでは、優勝した石川遼と3打差の4位タイに入っている。
そんな藤田は自身の賞金王よりも「宮本にそのまま行ってもらいたい」と、芹澤信雄を師匠として長年切磋琢磨してきた宮本推し。そして、「それ以外の人が行くんだったら自分が行きます」と、マークセンの賞金王は阻止したいと考えている。
「あんまり得意ではない」と苦笑いを浮かべるコースだが、藤田が所属する葛城ゴルフ倶楽部とは「井上誠一さんの設計ということで共通点がある」。戦略性のあるコースだけに、マネジメント力が勝敗を分ける。その中で「ショットがダメだとスコアになってくれない」と、マネジメントを実現させるショット力は必須だ。
レギュラー・シニア通じて初めての賞金王がかかる宮本か、それとも2年連続5度目がかかるマークセンか。はたまた12年のレギュラーツアー賞金王に続き、シニアで初の賞金王がかかる藤田か。3人の賞金王争いとともに、賞金ランキング30位以内に与えられる来季の出場権争いにも注目が集まる。