気迫のこもった18ホールだった。3打差を追って逆転優勝を狙った片山晋呉だったが、最終日は6バーディ・2ボギーの「68」で優勝には4打届かず。トータル7アンダー・4位で大会を終えた。賞金200万円を加算したが、賞金ランキングでは優勝した増田伸洋に抜かれ、10位から11位に後退した。
“26季連続”がかかるレギュラーツアーの賞金シードに見切りをつけて、今週、来週とシニアツアーを選択したのには理由がある。シニアツアーの賞金ランキング上位4人に与えられる来年の海外シニアメジャー、「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」への切符が欲しいのだ。現在、賞金ランキング4位に浮上した増田との差はおよそ770万円。次週の最終戦「いわさき白露シニアゴルフトーナメント」の優勝賞金は1200万円、2位は570万円のため、“優勝”しか賞金ランキング4位に入る道はない。しかも、増田が3位以下になることが条件となる。
片山の最終日はボギーからスタートした。ドライバーでのティショットは左に流れて、傾斜がきつい左のラフへ。ツマ先上がりのセカンドショットはクラブを短く握って上手く打ったが、グリーン右奥のバンカーに入れてしまう。下りの面に打っていくバンカーショットは2メートルショートして、このパーパットが決まらずボギー。トップとの差は4ストロークに離れ、一時はトップ10圏外に落ちた。
それでも、10月下旬の「福岡シニアオープン」では最終日に残り10ホールから9バーディを奪い、前週のレギュラーツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」で6位タイに入った片山の状態はいい。伸ばしやすい6番パー5、8番パー5、距離が短い9番パー4で3つのバーディを奪ってトータル5アンダーまで伸ばし、トップと2打差に迫って折り返した。
後半は14番パー4で下りの4メートルをねじ込んでガッツポーズが飛び出す。15番パー5ではグリーン奥からの3打目を40センチに寄せて連続バーディ。最終的に増田には届かなかったが、『もしかしたら』という可能性を感じさせるプレーだった。ホールアウト後は「やっていて気持ちいい。すごくいいゴルフだったと思います」と本人も充実した表情を浮かべる。そして、「ただ勝てなかった。相手が強かった。増田選手がすごいですよ」と、強風が吹く難しいコンディションで、片山以上にスコアを伸ばした勝者を称えた。
次週はいよいよシニアツアーの最終戦。舞台となる鹿児島県のいぶすきゴルフクラブは、2004年まではレギュラーツアーの「カシオワールドオープン」が行われており、19年には「日本プロゴルフ選手権」の会場にもなっている。片山にとってシニアツアーでは初めての出場となる大会も、知らないコースではない。「僕はまったくダメですね。覚えてないくらい。カシオの時もあんまり良くなかったんじゃないかな」。そんな4人の記憶とは反対に、その成績は悪くない。
【片山晋呉のいぶすきゴルフクラブ成績】
95年 カシオワールドオープン 予選落ち
98年 カシオワールドオープン 棄権
99年 カシオワールドオープン 4位(-10)
00年 カシオワールドオープン 29位タイ(-3)
01年 カシオワールドオープン 4位タイ(-13)
02年 カシオワールドオープン 9位タイ(-7)
03年 カシオワールドオープン 2位タイ(-17)
04年 カシオワールドオープン 7位タイ(-8)
19年 日本プロゴルフ選手権 38位タイ(-2)
いぶすきでは9試合でトップ10は5回。03年には優勝した今井克宗とは7打差がついていたものの2位タイに入っている。「1カ月くらいずっといい状態が続いているので、それも楽しみ。何の希望もなく行くわけではない。いいプレーができたらいいなっていう、できるだろうなって信じて行くしかないと思います」。今大会には出場していなかった賞金ランキングトップの宮本勝昌も、最終戦には参戦する。賞金王争いに海外シニアメジャー切符、そして来季のシード権もかかる熱い戦いとなりそうだ。