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シニアツアー

【すまいーだカップ/1R】長尺パターはただの“お守り”? 矢澤直樹は25年前のプロテスト合格時に使っていた「L字」で1差2位の好スタート

2023年11月16日

今年3月の「PGAシニアツアー予選会・最終予選」で2位に入り、今シーズンの出場権をつかんだ矢澤直樹。しかし、ここまで11試合を戦って、トップ10は一度もなく、賞金ランキングは37位(414万5061円)に沈んでいる。そんな矢澤が残り2戦となった今大会で、1イーグル・3バーディ・ボギーなしの「67」で回り、5アンダー・2位タイの好スタートを決めた。



初日はインコースから出た矢澤。14番まではパーを並べ、最初のパー5となった15番でバーディを先行させた。1アンダーで折り返して、1番から5番まではパー。6番パー5で2つ目のバーディを奪うと、8番パー5では2オンに成功して「打っちゃった!」というパットが入って「ラッキーな」値千金のイーグル。パー5で4つ伸ばしながら、最後の9番パー4をバーディで締めて、一気にリーダーボードを駆け上がった。



「ティショットが全然飛ばなくて、残りはピンまで230ヤードくらい。本当は5番ウッドで打ちたい場面だったんですけど。今回はパターを2本入れているので、5番ウッドを抜いちゃったんですよ。しょうがないから3番ウッドでフェースを開いてどスライスみたいに打った球が乗ってくれて…」。とは8番パー5のイーグルの話。でも、『パター2本』ってどういうこと?


「そこは触れてほしくないところなんですよね…」と矢澤は言いつつ、「平均パットがいつも70位くらいで上手ではないんですよ。イップスが原因でずっと長尺を使っていたんですけど、それも入らないから、今回試してみようとかなと思って持ってきたんです」と告白する。


そう言って見せてくれたのは、1980年代に発売されたテーラーメイドのL時型パター『TPA-18』。かつてニック・ファルド(イングランド)が使用して世界的に大ヒットしたモデルだ。1998年に矢澤がプロテストに合格したとき、使っていたパターでもある。その実物は「メンバーさんが欲しいというのであげちゃった」のだが、「何かいい感覚を思い出すかなと思って」、インターネットオークションで購入した。



矢澤が試合でパターを2本入れたのは「初めて」。もともと使っていた長尺も「すぐに使える状態で」バッグに入れていた。「割と(イップスの症状は)出ました。このホールは長尺を使おうかなという場面もあったんですけど、我慢して今日は使わなかった。明日からも5番ウッドを抜いて長尺は入れていきます」と笑う。長尺パターはいざという時のための“心の保険”であり“お守り”のようなものなのだ。


来季の出場権が得られる賞金ランキング30位以内のシードには、残り2試合で200万円以上を積み上げないと入れない見込み。今大会に限れば、単独3位(220万円)以上の成績が必要となる。「片隅には最終予選のことも考えています。何が起こるか分からないですからね」。同31~50位に入れば、2次予選会をスキップして、来年のシーズン開幕前に行われる最終予選に進める。矢澤はこのまま“お守り”を使わずに「距離感が合う」L字で戦い抜けるか。結末はいかに。