さわやかな笑顔とひょうひょうと話す関西弁は健在。11月5日に50歳の誕生日を迎えた山下和宏が、今大会でシニアデビューを果たす。山下は3月に行われた「PGAシニアツアー予選会・最終予選」を8位で突破。つまり、今年13試合行われるシニアツアーの残り2試合のためだけに、予選会を受けたことになる。
「やっぱりそこにチャンスがあるんだったら、出るのは当然だと思うし、推薦ではなく頑張って出られて良かったと思います」と、自力でつかんだデビュー戦の切符に山下は価値を見いだしている。
レギュラーツアー時代は、2008年に賞金ランキング42位で初シードをつかむと、そこから2017年まで10年連続で賞金シードを維持し続けた。45歳だった18年に賞金ランキング96位でシードを喪失。レギュラーでは11度の最終日最終組を経験しながら、優勝にはあと一歩届かなかった。シードを失くして2年が経ってから、「あと3年かな」と気持ちをシニアに向けて調整してきた。レギュラーでは達成できなかったツアー優勝が「モチベーションの1つではある」と話す。
今週、試合会場に入ると「山下、ついに来たか」と周りのプロたちからは歓迎ムード。山下自身、これまではレギュラーツアーや、下部のABEMAツアーでは20代の若い選手とばかりプレーしてきて「この子たちと比べてもな」という思いがあったが、「同世代以上の人たちとやるのは全然違う感覚があるんじゃないか」と、シニアツアーという新しいステージで戦うことを楽しみにしている。
今週の出場選手の中では山下が一番若い。当然、シニアツアーでは若ければ若いほど勝つ確率も高くなる。毎週のように試合をこなしてきたシーズンからは4、5年のブランクがあるが、地方の試合などで試合勘を養ってきた。今年唯一出場したレギュラーツアー、10月の「ACNチャンピオンシップ」では、決勝ラウンドに進出して59位に入っている。
「ゴルフってモグラ叩きみたいなところがあって、これが良くなっても、次はこれっていうようなのが出てくる。常に自分を磨いていかないと上手くいかない気もするので、毎日修正していくのがカギかなと思っています」。今週、来週と2週連続で続く予選落ちのない3日間大会を、自分の状態を確かめながらプレーしていく。
「それができたら最高」と、究極の目標は2試合で賞金ランキング30位以内の賞金シードを獲ること。現在の賞金ランキング30位の崎山武志の獲得賞金は約486万円で、600万円ほどがその安全圏と言えそうだ。「その次は50位以内」。30位に入れなくても、50位以内に入れば、2次予選会をスキップして、来年のシーズン開幕前に行われる最終予選から出場することができる。いよいよ明日、山下が3年間楽しみにしてきた第2のゴルフ人生のティオフを迎える。