「第7回福岡シニアオープンゴルフトーナメント」の最終ラウンド。首位の片山晋呉(50)と3打差でスタートした宮本勝昌(51)が10バーディー・ノーボギーで回り、大会コースレコードの62をマーク。通算12アンダーで並んだ片山と宮本がプレーオフへ。2ホール目で宮本がバーディー、片山がバーディーならずで、宮本が大会初優勝、シニア通算2勝目を飾った。福岡シニアオープンを終えて、2位のプラヤド・マークセンと約560万円で宮本が賞金ランキングトップに立っている。倉本昌弘(68)が67で回りシニアツアー5度目となるエージシュートを達成している。スーパーシニアの部は青木基正(73)が逆転で優勝。
90年代の日本大学ゴルフ部同期「宮本勝昌」と「片山晋呉」は、ジュニア時代から切磋琢磨を続け、レギュラーツアーでも凌ぎあいをしていきた「日大三羽烏」の良きライバル関係だ。その宮本と片山が最終ラウンドで白熱したスーパープレーを競演し、福岡のゴルフファンを魅了した。
宮本の第1ラウンドは5バーディー・3ボギーとし2アンダーの70。バーディーチャンスには着けるものの、パッティングの不調でスコアが伸び悩んでいた。ラウンド後、宮本は練習グリーンで時間を費やしていたところ、ベテランシニアの真板潔もパッティング練習に専念していた。宮本は「シニアでパットの名手は真板さん」と思っていたこともあり、パッティングを見てもらったという。「真板さんは状態を的確に分析してくれて、さすがでした。ですけど、最初は渋ってそう簡単にはアドバイスはくれなかったです(笑)」といい、真板とのやり取りが、最終ラウンドでスコアを伸ばした要因になったようだ。
最終ラウンドはスタートから4連続バーディーを荒稼ぎ。6、8番の要所でさらにバーディーを奪い、前半でスコアを6つ伸ばし30でターンする。ターン後もパットが冴えわたる。10、13、16番いずれも1ピンに着けてバーディーを量産。最終18番パー5ではガードバンカーから50センチに寄せるスーパーショット。バーディーパットをねじ込んで62をマーク。「今年一番の出来でした」と言わしめるほど、ノーボギーで完璧なプレー。そして大会コースレコードのおまけもついてきた。宮本は最終組の4組前だったこともあり、クラブハウスリーダーとして、状況を待つことになった。
一方で最終組の片山は、前半を1オーバーでターン後、バックナインを猛追。後半の6連続バーディーを入れて、8バーディー・ノーボギーの28をマーク。通算12アンダーで首位の宮本に追いつき、勝負所での強さを光らせた。
宮本は「ジュニアの時から一緒にゴルフをやってきた晋呉とのプレーオフは初めてでしたが、とにかく楽しい時間でした」と振り返る。1ホール目は両者パー。2ホール目。片山のティーショットは左の林方向へ。セカンドはベアグランドからセーフティーにフェアウェイへ運び、グリーンピン手前の10メートルに乗せ、バーディーチャンス。宮本のティーショットはフェアウェイをキープ。セカンドショットをグリーン右サイドのバンカーに入れたが、ガードバンカーから50センチに寄せるスーパーショットを披露。宮本が得意技のバンカーショットを完璧に決めた瞬間だった。
片山はバーディーパットをわずかに外し、宮本が50センチのウィニングパットを決めて、宮本が第7回大会の福岡シニアオープンに輝いた。宮本は大会初出場で優勝を飾り、今年のファンケルクラシックに続き、通算2勝目を挙げた。
最終ラウンドの見どころは、現役レギュラーツアー選手でもある宮本と片山がビックスコアを出して同スコアで並び、プレーオフ対決でゴルフの執念を露わにしたことに尽きるが、宮本自身も「本当に楽しい時間でした。勝っても負けてもいいと思いましたし、先輩たちには帰りが遅くなって申し訳ないのですが、このゲームが続いてくれないかなあとひそかに楽しんでいました」と言わしめるほど、気分は満たされていた。「ジュニア時代からやっていた晋呉と、こうしてシニアツアーのフィールドに一緒に立ってプレーオフをしている状況に、感無量でしたし感激しました。そして今日は同組だった倉本先輩が68歳で67のエージシュートを達成する瞬間にも立ち会いましたし、感動をいただきました。シニア世代になっても、まだまだゴルフを向上させていきたい」と思いを馳せていた。
宮本は来週からレギュラーツアーに戦いの場を移し、マイナビABC、三井住友VISA太平洋、ダンロップフェニックスの3連戦で賞金ランキングシード入りを目指すことになる。シニアツアーは最終戦のいわさき白露シニアに出場予定で「シニア賞金王を獲るには優勝するしかない」という状況も視野に入れている。今年は海外シニアメジャーに挑戦し、10位という成績を残せたことは宮本にとって大きな収穫。12月にはPGAチャンピオンズツアー最終予選会にもエントリーを済ませており、日本シニアツアー代表として戦う覚悟もできている。宮本は最高の笑顔で優勝トロフィーを掲げ「福岡シニアオープンに関わったすべての皆様に感謝しています」と伝え、実力を示せたシニア2勝目を悦喜した。そして「パット名手の真板さんからアドバイスいただいたおかげです。ありがとうございます」と先輩プロの存在に謝意を示したのだった。