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シニアツアー

〔佐世保シニアOP/1R〕64をマークした田村、シード獲得に向け起死回生のビッグチャンス到来

2023年10月14日

 「第10回トラストグループカップ 佐世保シニアオープンゴルフトーナメント2023」の第1ラウンド。穏やかな秋空の下でプロ80名、スーパーシニア12名、アマチュア43名の135名が集結。トップに立ったのは8バーディー・ノーボギーの64とビックスコアを作った田村尚之(59)。2打差2位には夏以降、好調な成績を出している飯島宏明(52)が着けている。

 田村は前半のインコースを6バーディーの30で滑り出した。後半のアウトコースは、3番パー5の林に入った球が大木の幹の上へ。球をビリヤードのように樹幹に当て、フェアウェイへ出すことに成功。残り120ヤードをワンピンにつけてパーで凌ぎ、ピンチを乗り切った。4番、8番とバーディーを重ねて、終わってみればノーボギーゴルフを達成し、第1ラウンド首位とし好スタートを切った。

 トップアマから49歳でプロテストを受験し合格。50歳以降はシニアプロ兼サラリーマンとして活動する田村尚之。シニアツアーメンバーになってから今年で10年目を迎え、ツアーではすっかりベテランの存在感があるが、昨年これまで守ってきた賞金ランキングシードを喪失。今年はシニア最終予選会に挑戦して7位に入り、今季は予選会ランキング上位者としてフル参戦している。2016年富士フイルムシニア、2021年ファンケルクラシックとシニアツアー2勝を挙げている熟練プロ田村でも、賞金ランキングから脱落。予選会からの出場を余儀なくされ、群雄割拠の時代をどう乗り切るか、頭を悩ませているのが現状だ。

 今季はスターツシニアの40位が最高位。先週の日本プロシニアでは初日3アンダー8位タイで好スタートを切ったが、第2ラウンドは78を叩きトータル3オーバーで予選落ち。「まさかとは思っていましたが、こんなゴルフの不調は初めて」と本人も負のスパイラルを止められない。平均パット数も2を超え「当然アンダーがでるわけがない」と気分も低迷。さらに8月、得意のファンケルクラシックを前に父親が逝去。心身ともに落ち着くまでに時間を要した。「ようやく気分もちょっとずつ、体調もぼちぼち上がってきた気がしています。それがプロシニア初日のゴルフに現れた」と手ごたえも感じている。

 現在賞金ランキング67位の田村尚之だが、これまでにビックスコアを出すことはたびたびあった。9ホール最少スコアとしての記録だが、2015年スターツシニアで30(2R)、広島シニアで29(1R)、2016年ISPSハンダで30(3R)、2018年富士フイルムシニアで30(1R)と大きな流れを作り出す力がある。

「僕はシードどころか、最終予選会に行けるかどうかもわからない。あと5試合あるから、相当ギアをあげていかないと。そんな中でも今日はショットがベストな状態の感覚に近かったので、ゴルフも上出来でしたしね、やっとよく眠れそうです」と田村の柔和な笑みが弾けた。「佐世保は素晴らしい景観もあるし、気分を上げてくれるコース。明日も景色を楽しみながらプレーしたいよね」と目じりを下げる。

田村にはシニア3勝目も狙える、起死回生のチャンスが巡ってきた。