「当初地元企業の協賛が5、6社でしたが、今や100社を超えるまでに大会が成長して、感謝しかありません」と、今年で10回記念大会の開催を喜ぶ長田力(70)。「第1回佐世保シニアオープンゴルフトーナメント」から今年の大会まで大会実行委員長を務めており、選手兼というスーパーシニアプロでもある。
佐世保シニアは2013年(第1回)にスタート。13、14年と2回続けてシニア後援競技として開催した理由を聞くと「まずは世間に大会の認知度を広め、関わってくださったスポンサーのみなさんにシニア大会を楽しんでもらう」ことが目的だったという。大会は最小限の運営で、最大に楽しんでもらえるよう実行委員会を設立し、広く意見を求めながらプロとしての視点も大事に伝えてきた。佐世保シニアが好評をいただくようになり、3年目で「シニアツアー競技」にグレードアップ。スポンサーに対しては、現役シニア選手の活躍も楽しんでもらいながら、プロアマ大会の魅力を発信し続けた。
長田は「ゴルフを通じて社会貢献をしたいという地元企業の依頼を受けて、このトーナメントが発足したのです。地元企業の応援がだんだんと増えてくるにつれて、佐世保市長の認知度もいただき、地域で大会を盛り上げるという最高の宣伝ができるようになってきました。この時期が来ると、佐世保のみなさんが話題にしてくれる、選手も佐世保を楽しみにしてくれていることが嬉しいです」と言葉を弾ませた。「佐世保の魅力は景観と食に尽きます。人とのふれあいも楽しい。九州の大きな魅力でもあります」。九州地区でのプロ活動を大切に生活してきた長田にとって、長崎・佐世保は自慢できる九州観光エリアでもあるのだ。
佐世保シニアは佐世保市のスポーツ事業に役立てていただけるよう、賞金の一部をチャリティーとして寄贈している。息長く地域に貢献を続けるためには、ジュニア育成を軸にスポーツ全般への支援が欠かせない。「チャリティーまでつなげるということが、特別協賛会社のみなさんと思いが一致するところなのです。1年1年続いてきたトーナメントを絶やさないようにするためには、まずはチャリティー活動を続けることなのです」と趣旨を伝える。成果が現れてくるまで、ゆっくりじっくりと構える時間が必要になってくる。
2003年から3年間、日本プロゴルフ協会の会長を務めた長田にとって、地域貢献・社会貢献が、ゴルフ人生における最上の恩返しでもある。
大会ではスーパーシニアの部も設けられ、ゴルフ界に貢献してきた68歳以上、12名のベテランプロもプレーする。長田も選手として長きに渡り出場を楽しんでいる。「70歳になると、老いというテーマがついてくる。大会を開催して10年という年月が経ち、気力体力も落ちる方が早いと感じています。それでも、なんとか老いを食い止めようと、一日でも長く努力を続ける姿がそこにはあります。プロとしてクラブを置くまでは、全力で戦う姿を知ってもらいたいのです」と穏やかな笑みを浮かべた。
先日長田は狭心症の手術を行ったばかりだという。「プロ人生、初めてのことで不安もあります。今日はこうしようと思っていても明日はわからないという状況ですが、自分に期待もする。大会の成功を願いつつ、私も選手として楽しく完走することを目標にしています」。まずは地域の活性化を念頭に、大会に携わるすべての人々が生き生きできる場所が、佐世保シニアにある。