中部プロゴルフ会会長、というのは少し堅苦しいタイトルでもあるが、いわゆる中部エリアのプロゴルファー代表・桑原克典(54)が、日本シニアオープン第3ラウンドで68をマークし通算5アンダー、首位と4打差5位につけている。
初日74ストローク、62位と出遅れたが、第2ラウンドで69をマークし通算1アンダーで23位へ浮上。第3ラウンドは4バーディー・ノーボギーとさらにスコアを伸ばして通算5アンダー5位と逆転優勝も狙える位置に着けた。
厳しい残暑、海から吹いてくる重い風が選手の体力を奪った一日。タフなコースコンディション、きわどい判断が求められるピンポジションといった要素が、決勝ラウンドに進出した精鋭プレーヤーを悩ませる。必ずどこかにボギー以上の罠が仕掛けられているセッティングだが、第3ラウンドで清水洋一と桑原克典の2名だけが、ノーボギープレーを達成したという厳しい一日でもある。
「今日良くても、明日はどうなるかわからないですね。明日は我が身っていうか。今日はたまたま良かったというのもありますしね」と表情はすっきりしない。「JGAさんのセッティングは、まずフェアウェイに打てていないと、パーセーブも厳しくなりますし、ピンプレースメントは3メートルから3パットしてもおかしくないデンジャーゾーンあったりと、全部の要素に心して向き合わないと戦いきれない」。レギュラーツアー2勝をあげているクワカツでも、JGAオープン競技は手ごわい試合として位置づけられている。
難易度の高いコースセッティングを予想しながら、しっかりとマネジメントを組み立てる知的プレーヤーとして知られる。日本シニアオープンはこれまでに4回参加し、全予選を通過。2021年の2位が最高順位であり、相性のいい大会でもある。「流れの中では成功もあるし失敗もありますが、腹を立てずにどれだけ冷静でいられるか。勝つ人はそのプレッシャーを乗り越えている人だと思うのです。どれだけ自分を信じられるかに尽きますからね」。シニアオープンに出場するたびに、自分の技量が今どのレベルにあるかを確認できる。
今年は北陸3県を含む中部プロゴルフ協会統括エリアの大会開催。桑原は中部プロゴルフ協会会長として挑む5度目のナショナルオープンに「シニアの持つ個性豊かなプレーを楽しんでもらいたいですし、期待に応えられるよう精一杯プレーします」と口元を引き締める。
シニアツアーはこの3週間ほど連戦が続き、疲労も蓄積していると思われるが、疲れも見せずに笑顔でテンポ良くプレーする姿が頼もしい。「本当は・・・頑張って足を動かしてる(笑)。体のケアはトレーナーにしてもらうことにしていますし、今週は北陸続きで美味しい海の幸を楽しんでいますから、リフレッシュできていますよ。地方の美味しい食事探しは、ツアー中の醍醐味ですよね」。シニア5年目、ツアーの楽しみ方にも味がある。首位と5打差を追いかける最終日は、心地よい日本海の風に後押しされたい。中部プロゴルフ会会長にとって明日の最終日は、2週3試合連続した北陸シリーズの集大成となる。