シニアツアー2年生が会心のスタートを切った。昨年のシニア最終戦でプレーオフを制してシニア初優勝を飾った渡部光洋が、初出場の日本シニアオープン第1ラウンドで4アンダーの2位につけている。
前半は10番からスタートし、12、13番で2連続バーディー、さらに14番パー5(512ヤード)ではセカンド200ヤードを5番アイアンで1.5メートルに着けてイーグル奪取。15番でスコアを1つ落としたが、18番パー5をバーディーとしスコアを戻した。
後半3番で2度のバンカーインが続きボギーに。しかし4番から怒涛の3連続バーディー。流れに乗るかと思われたが15番、さらに18番でもボギーを重ねてしまう痛恨のミス。スコアの浮き沈みはあるが、終わってみれば首位宮本と2打差の4アンダーで一日を終えることができた。
夏のファンケルクラシック・21位を皮切りに、渡部は調子を少しずつ上げてきている。翌週のマルハン太平洋シニアで9位、先週のコマツオープンでは5位に食い込み、賞金ランキングは19位まで上げることができた。「試合が続く方がやり易いのです。連戦の中で掴めるものがある」。午前11時45分スタートの渡部は、朝5時に起きて早めにコース入り。いてもたってもいられず、ずっと練習して時間をつぶしていたという。「自分で調子いい流れを、鼻息荒くして自滅しないように」とこの1年で経験した苦い思い出もよみがえるが「ボチボチやればいい。自分のペースでやる。これが一番難しい。慌てず、騒がず、ゆっくりやるだけ」と何度も自分に言い聞かせていた。
シニアツアーの期間中は、関西四天王の一人・中村通、全米プロシニア覇者・井戸木鴻樹と練習ラウンドでお世話になっているという。「もうね、レジェンドと一緒にゴルフできるだなんて、ぜいたくでしょう。毎回勉強させてもらっています」と嬉しさもにじみ出る。「二人とも的確なアドバイスをボソッと言ってくれますし、それにプレーのペースやスイングリズムが一定なんです。ミスした後でもポーカーフェイス。リズムが全く崩れない。そのあたりは本当に参考にさせてもらっています」と渡部は感心する。ベテランプロの所作を間近で見て真似ることで、少しずつ成績にも表れ始めてきた。
先週のコマツオープンに続き、帯同キャディを勤める藤原さんとのタッグも良い流れを生み出している。トップタイに並んだ最終ホールでは、二人のライン読みが一致せずにボギーでスコアを落として2位に後退したが「あのはっきりしない瞬間はいらっとしましたが(笑)、あとは頼りにしていましたよ。なんか食事も通らないくらい緊張しているって言うし、そんなに心配をかけたくない。自分のゴルフをボチボチやらせていただきます」とナベさんは穏やかな表情を浮かべた。
昨年は出場すら叶わなかったシニアオープンで、今年は初日2位と好スタートを切れている。この1年で大きく成長を見せている渡部の4日間がスタートした。