日本プロ2勝(2004、2005)を含むレギュラーツアー8勝のS・K・ホが日本シニアツアーに返り咲きする。先月50歳の誕生日を迎えたばかりのホは、日本シニアオープンでどの選手よりも一番若いタイミングでシニアデビューを果たすことになる。「この試合の雰囲気とか仲間との再会、本当に楽しみでした」と笑みをこぼす。
ところがデビューを喜んでばかりではない。シニアツアー参戦を心待ちにし2017年に日本PGAに入会をしたが、今年初めに必要だったシニアツアーに出場するための「登録手続き」をしていなかった。そのため今年は「レギュラーツアー3勝以上をしている選手」というカテゴリーに合致している日本シニアオープンのみの出場となる。
登録のタイミングを逸してしまったことも悔やまれると思いきや、現在のホはソウル近郊にある柔道で有名な龍仁大学で「ゴルフ講座」を受け持っている。「学長からゴルフに特化した学科を新設するので、ぜひ教育者として貢献してほしい」と熱烈なラブコールを受け、1年前から教鞭をとっている。「忙しい毎日。学生がとても熱心ですし、私にとっても学問からゴルフをアプローチすることは新鮮。毎日が勉強です」と流ちょうな日本語を使い、充実した日々を送っていると話した。
それはそうと、レギュラーツアーの一線から身を引いたホは、韓国に帰国してからはインドア練習場の経営のみならず、自らアマチュアにレッスンをしている。インドアは連日多忙を極めているといい「自分の練習はほとんどできていませんよ」と苦笑い。人気の秘訣は、韓国SBSのTV放送局で、週2回(現在は1回)ゴルフレッスン生放送番組に出演している。日本では生放送でレッスンをする番組にはなかなかお目にかかれないが、韓国では人気番組として普及しているそう。母国ではプロゴルファーとして、そして実業家として精力的な日々を過ごしている。
今回の出場を叶えるために、スケジュールの調整もしっかりと対応してきたという。「先週、韓国で開催されたアジアと日本の3ツアー共催の『シンハンドンヘオープン』に学生を率いて、ゴルフトーナメントの成り立ちや運営に関して実地研修してきましたよ。私が日本で経験して学んだことを、プレーヤー目線はもちろん、運営サイドの取り組みもあますところなく伝えてきました。だから今週は私大学を休んで、試合に参加できるんですよ」。自分のプレーのために、大学を休講にせざるを得ない心苦しさもあるが、その分現地実習という形で学生には課題を示してきたようだ。
久々のトーナメント参戦に、シニアデビュー初日のペアリングも気になるところだが「組み合わせみてびっくりしました。倉本さん、谷口さんっていう有名ベテランプロとのプレーになっちゃって。こんな状態で優勝はまったくチャンスないですけど、とにかく全力を尽くして楽しんできます」と柔和な笑みを見せた。
S・K・ホのシニア凱旋デビューは、どんな結果をもたらすのか。日本と韓国の新しい架け橋を担ったホの活躍にも注目したい。