NEWS
シニアツアー

【スターツシニア/FR】レギュラー5勝のデービッド・スメイルが2位5打差をつけ、念願のシニア初優勝を飾る

2023年06月18日

 今季シニア第3戦「第23回スターツシニアゴルフトーナメント」の最終ラウンド。最終組で回ったデービット・スメイル(53)が6バーディー・ボギーフリーの66で回り、通算18アンダーで初日からの首位を守りシニア初優勝を飾り、賞金1400万円を獲得した。5打差2位に前年覇者の藤田寛之(54)、プラヤド・マークセン(57)が入った。

 シニアツアーデビュー戦として出場した片山晋呉は通算12アンダーで4位と存在感を知らしめた。大会3日間共、髙橋勝成(72)がエージシュートを達成。60歳以上で最上位者に与えられるスーパーシニア特別賞は倉本昌弘に賞金100万円が贈られた。

 ニュージーランド出身で、レギュラーツアー5勝を挙げているデービッド・スメイル(53)がシニア初優勝を飾った。スメイルは5バーディー・ノーボギーで回り66をマークし2位に5打差を着け、初日から首位の座を守り切っての優勝となった。

 「とても嬉しいです。昨年大会も2位タイで終えていますし、今回はリベンジを果たせました。完全優勝はとても嬉しい。コースセッティングなど、私にとてもマッチしていました」と喜びの言葉が溢れ出た。

 スメイルは10年前からパッティングの精度に苦しんでいたという。「左腕がローテーションする動きに悩んでいたのです。今週練習日に左腕をホールド(固定)するとイメージ通りのパッティングができるようになったのです」と光を見出していた。

 最終ラウンドは2番パー5で8メートル、5番パー3では10メートルという長いバーディーパットをジャストタッチで沈めたことで、貯金を作ってバックナインへ。これまでパー5だった14番パー4(495ヤード)も連日バーディーを奪取。2位を追走していたプラヤド・マークセンは、首位2打差を埋めるべく後半仕掛けようとするが、11番のダブルボギーが響き、15、16番の連続バーディーでは追いつけない。スメイルは16番パー4では上り2メートルというプレッシャーのかかるパーパットを決めたことで勝利を確信。最終18番パー5でバーディーフィニッシュを飾り、念願の優勝タイトルを掴んだ。長い3日間の戦いからようやく解放された、歓喜の瞬間だった。

 スメイルは、1997年からレギュラーツアーに参戦。2002年日本オープン、カシオワールドオープン、2004年にカシオワールドオープン2勝目を挙げ、2005年にはアコムインターナショナルとプリヂストンオープンで優勝するという活躍を示し、日本が大好きになった。

 日本のシニアデビューを目標に、シニアツアー予選会には2021年に挑戦し2位で通過したことで年間の出場権を手中に収めている。2021年は賞金ランキング23位に入り、次年度の賞金ランキングシード権を獲得。一方で、シニアツアーは基本的に日本PGA会員を出場対象としていることもあり、同年のPGA資格認定プロテストも受験し、最終プロテストにも合格。入会セミナーを受講後、2022年1月1日付で日本PGAメンバー入りを果たしているのだ。

 昨年に続き、息子であるチャーリーが父のキャディとしてサポートした。「今日は4回アドバイスをしました。父は最終日のプレッシャーを私には見せないようにしていましたが、ちょっと寡黙だったかな(笑)。とても落ち着いていた様子でしたよ」とチャーリーは振り返る。現在24歳のチャーリーは、デービッドが活躍をしていた頃も来日していたといい「当時6歳ころで、あまり覚えていないのですが、ずっとプロゴルファーである父という存在を尊敬しています」といい、今回の優勝については「この2年間コロナ禍で、父は日本にいることを選択したので、実家にいない時間が長かったんです。その分、こうやって一緒にいる時間ができるようになって、優勝にも立ち会わせてもらって・・・父のこれまで頑張ってきたことは本当に誇らしいです」と声をはずませた。

 18年振りに日本で優勝を飾ったスメイルは「スターツシニアという歴史ある素晴らしい大会で優勝を飾れて、私のゴルフ人生でも嬉しい日となりました、ニュージーランドにいる家族と優勝の喜びを分かちあいたいですし、現在活動拠点である成田でも、仲良くさせていただいている家族のような友達がたくさんいますので、みんなと大好きな日本のビールで乾杯したい」と満面の笑みを浮かべた。

 表彰式の終盤に、スメイルの一番弟子だという伊藤真利奈さんが駆け寄ってきた。真利奈さんは日本とロシア、そしてウクライナの血を継いでいる女子ゴルファー。「優勝に立ち会えて本当に感動させてもらいました」と目を潤ませる。スメイルの紳士なゴルフの姿勢に心を打たれて弟子入り。ニュージーランドでホームステイさせてもらったことも刺激になり、現在JLPGAのプロテスト合格を目指し技術を磨いている。愛息であるチャーリーも日本のクオリファイングトーナメントに挑戦中だといい「父と一緒に、大好きな日本で活躍できるプロになりたい」と決意を表明。ニュージーランドと日本という間に、ゴルフの架け橋が生まれた日になった。