今季シニアツアー3戦目となる「第23回スターツシニアゴルフトーナメント」が明日16日から18日の3日間、茨城県笠間市にあるスターツ笠間ゴルフ倶楽部(6,894ヤード・パー71)で開催される。前年覇者・藤田寛之(54)をはじめ、歴代チャンピオンの倉本昌弘(67)、室田淳(67)、尾崎直道(67)、谷口徹(55)、さらにシニアツアーデビューを飾る片山晋呉(50)といったレギュラーツアーでも活躍中の選手など総勢78名が参戦する。
今年のスターツシニアには4名の永久シードプレーヤーが名を連ねる。レギュラーツアー48勝・中嶋常幸(68)、30勝・倉本昌弘(67)、32勝・尾崎直道(67)、そして31勝をマークし今年1月に50歳になった片山晋呉という横綱クラスの登場だ。
片山は先週のレギュラーツアー「ASO飯塚チャレンジドゴルフ」にも参戦しており、今季はすでにレギュラー7試合に出場。試合感を切らすことなく、シニアデビューの日を迎えることになる。片山にとっては楽しみにしていた新しいフィールド。出場選手の中で一番若いという条件も、モチベーションを上げてくれる。
「レギュラーツアーでは自分が教育係のような立場ですからね。昨日今日でシニアの先輩方には全員挨拶を済ませました。自分から挨拶する方が楽(笑)。知っている方たちばかりなので回りやすいはずです」と心地よさも感じている。
現役ツアープレーヤーという存在が現れたことで、シニアデビュー戦での優勝に期待がかかるが「目標は何もないですよ。それはいつも通り。1つ1ついいプレーにしたいから」と注目を集める環境にいても片山は泰然自若として騒がない。「僕にはゴルフで心残りしていることがあるんですよ。世界一になること、です」と片山は目を輝かせる。2009年にマスターズトーナメントで4位に入り世界の頂点に近づいたが、世界の壁は厚かった。45歳からシニアツアーを意識するようになり「世界一」という目標達成に向けて、これまで順調に歩んでいるという。「今回のデビュー戦で自分がどうなるか楽しみです。初めてプレーするコースですし、グリーンはめちゃくちゃ難しいですし。優勝スコアをみるとそんなにスコアがでるのかなと思うくらい、ギャップがありますからね、楽しみです」と期待を抱く。
23回目の歴史に名を刻むためには、片山が目を丸くするようなこれまでの優勝スコアが必要になるかもしれない。中島常幸(2013年)、谷口徹(2021年)、藤田寛之(2022年)の通算18アンダー、2015年室田淳の通算19アンダーというスコアが出せるゲーム運びにも注目したい。昨年までは14番ホールはパー5だったが、今年はパー4(495ヤード)となり、難易度の上がるトーナメントの後半ホールでスコアをまとめられるかどうかも見どころのひとつ。
永久シードプレーヤーの中嶋常幸にとって、今回のスターツシニアは2021年10月日本プロシニア以来のシニア参戦となる。レギュラー48勝、シニア5勝と脅威の戦歴。ちょうど10年前のスターツシニアが直近での優勝だった。「このコースはね、パーで凌ぐホールと勝負所といわれるバーディーホールがあって非常にメリハリがあって面白い。思い出しましたよ・・・優勝した大会では最後まで室田プロと大接戦でね。優しくないやつだって笑ったけどね。とてもいい大会の一つです」と当時をそっと振り返った。中嶋にとってこの約1年半の間、コロナ禍の影響を受け体調が万全でない日が続いた。クラブを握れないような不調な中でも、「トミーアカデミー」という自身が運営するジュニア育成プログラムには情熱を注いできた。子供たちとゴルフ体験を重ねる中で、自分の理想とする「プロゴルフ」ができる兆しがでてきた。
「身体は万全と言い切れないけど、一打一打、手を抜かずにやりたい。シニアツアーは、年取ればだれでもシニア入りする。20代と30代の身体差はあまり変わらないけど、50代と60代は大きく違ってくる。50代は白熱した試合ができるし、60代はほのぼのとした雰囲気がある。だからシニアツアーは楽しいものとしてプレーするんです。新顔も増えてくるけど、シニアツアーはみんなで盛り上げることが大事なんですから」。大ベテラン中嶋がルーキーに向けて、シニアの格言、そして魅力を伝えてくれたのだった。