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シニアツアー

〔金秀シニア/FR〕62歳・東聡がシニアツアー2勝目「まだまだ50歳に負けないよ」

2023年04月08日

 PGAシニアツアー開幕戦「金秀シニア 沖縄オープンゴルフトーナメント」の最終ラウンド。首位スタートの東聡(62)が4バーディー3ボギーで通算7アンダーとし、2013年ISPS・ハンダカップ・フィランスロピー以来2度目のシニアツアー優勝を飾った。2打差2位に横尾要(50)、白潟英純(56)、中山正芳(54)が続いた。初開催となった1日競技の「ちゃーがんじゅの部」(75歳以上)では、佐野修一(75)が3バーディー5バーディー74で回り、エージシュート達成という快挙と初栄冠を手にした。

 6アンダー首位でスタートした最終ラウンド。2番パー4で5メートルから3パットボギーとスコアを落としたが、5番パー5では2オン2パットのバーディー。7番パー4で1.5メートルを沈めて、フロントナインは1打リードを守る。

 風も強くなり同組の選手もスコアメイクに苦しむ中、11番パー4で5メートルのバーディーパットを決めたが、13、14番で連続ボギー。15番からパーで凌ぐホールが続き、苦しい展開に。2位とは1打差で迎えた最終18番パー5。帯同キャディで同行してくれた奥様(美和子さん)から「自分を信じてね。大丈夫だよ」とそっと声をかけられた。ティーショットはハーフディボッドにはまっていて、「嫌なライだな」と打ったら足が滑って大ダフリ。3打目のあるフェアウェイ右サイドのセミラフへ行ってみると、ボールの止まっていたライだけが最高の順目芝のスポットだった。

 「1打差とわかっていたから、絶対にバーディーを獲りにいく」と心に決め、今回から投入した新しい58度のサンドウェッジを手に、ピンまでの47ヤードを狙い勝負をかけた。「最高の高さとスピンがきいたアプローチでした。打った瞬間、勝ったも同然だった」と振り返る。ボールはグリーンエッジに落ちてピンに向かって転がり、1メートル弱のバーディーチャンス。東はウィニングパットを丁寧に決め、グリーン上ですでに感涙していた美和子さんと抱擁した。奥様が初めて優勝に立ち会った瞬間でもあった。

 52歳の時に優勝した「ISPS・ハンダカップ・フィランスロピーシニアトーナメント」から10年。総合的なゴルフ力に加え、特に実力が試される3日間大会での優勝に「久々の久々。もう優勝はできないって思っていたからね。大変なことが起こったよ」と本人も目を丸くする。

 今回の優勝で「翌週から年度末までに加え、翌年1年間のシード権」を獲得。「主催者の呉屋会長に推薦をいただいて出場ができ、優勝という結果を出すことができました。開幕したばかりですし、今年中にまた優勝が出来れば良いなと思っています」と、主催者へ最高のパフォーマンスを届けられたことに、東は心からの感謝を込めて、優勝挨拶をした。

 シニアツアーでは、子育てがひと段落してから「夫の仕事を観戦してみたい」、「一緒にゴルフを楽しんでみたい」などと理由はそれぞれだが、選手の奥様が会場へ応援に駆け付ける姿がみられる。最近は美和子さんもスケジュールを調整して、できる限り東の応援に駆け付けるようになっていた。「去年、少しキャディをやってもらっていたのですが、シニアツアーは乗用カートで移動できる大会もあったりするので、ギャラリーとして歩かないで済むしね」と、近い距離に家族の存在を感じられることも、安心材料になっていたのかもしれない。

 それでも美和子さんにとっては、初めてのシニアツアー優勝体験。東は「僕のやっている職業がこうなんだとわかってくれたかな。こういう気持ちでいつも勝とうとしている、みんな真剣にやっているという事が伝わったかな」とほほ笑んだ。

 実は10日後の18日は長女、翌19日は美和子さんの誕生日。「少し早いんだけどね、パパが最高の誕生日プレゼントをくれました。6月には娘が出産予定で、家族が増えます。本当にかっこいい優勝をプレゼントしてくれました」。美和子さんは表彰式のセンターに立つ夫の姿を、尊敬のまなざしで見つめていた。

 インタビューの最後に「まだまだ負けないよ、50歳にもね。一年後、さらに成長してこの場に帰ってきます」と、62歳のベテランは断言し、強さをにじませた。