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シニアツアー

〔金秀シニア/ひやみかちFR〕起死回生のラスト3ホール、初見充宣が嬉しい2勝目

2023年04月07日

 沖縄の方言で「えいっ!」とか「いつまでも元気でね」と気合を入れる「ひやみかち」という言葉がある。今年の「ひやみかち」部門は60歳以上のカテゴリーとして設けられ、大会最終ラウンドが4月7日に行われた。雨風が強弱をつけて吹き抜ける中で、最終日イーブンパー首位でスタートした初見充宣(70)が5つスコアを落としたが、他の選手もスコアが伸ばせず、初見が首位の座を守って優勝。2020年大会に続き2度目。優勝賞金80万円を獲得した。

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 スタートからパッティングのタッチが全く合わなかった。パーオンしても2パットで入る気がしない。初見はスタート1番パー4で2メートルを外しボギーとすると、2、3番もパーパットを決められずに3連続ボギー。5番パー5で6メートルのバーディーパットを外して3パット。前半は42とし、パット数は3パット3回を含む計19パット。「リーダーズボードにも名前なかったし、もう優勝はないなって」と落胆した。

 3パットボギーは後半10番ホールまで続いたが、その後5ホールをパーで切り抜ける。16番パー4ではセカンド115ヤードをピッチングで50センチにつけて、ようやくバーディー。17番パー3(182ヤード)は9番アイアンでグリーン奥のバンカーへ。バンカーショットから3メートルにつけてナイスパーセーブ。このホールで優勝争いをしていた友利勝良がボギーとし、初見とスコアが並んだ。最終18番ホールでは、左ラフから50ヤードのアプローチがオーバー。ここで3年前に海老原清二と激闘したことを思い出した。あの時と同じようなラインだった。「切れるように見えて、切れないライン」と読み切って打った7メートルのバーディーパットはカップに吸い込まれた。友利はパーだったことで、初見が起死回生の優勝を決めた。

 「短いパッティングがずっと決まらなかったら、勝機は全くなかったと思います。それが残り3ホールで2つのバーディーが来て。こんな苦しいゲーム展開で勝てるだなんて、沖縄の神様がご褒美くれたんですね」。一日を通じてリーダーズボードが目まぐるしく入れ替わる中で、金秀シニアで2勝を挙げている初見が、この混戦に決着をつけた。

 「70歳になって年相応のゴルフでいいんだって。今はシャフトを三菱ケミカルの『ELDIO』っていう女性向けのものを使っているんですよ」と明かしている。「ショットの調子だけだったら、アンダーパーはでていた」と初見。この2日間苦戦していたパターについては「このキャメロンのパターは親友のデービッド(イシイ)に作ってもらったんですよ。前半19パットで苦しんだ分、残り3ホールでまさかの挽回。デービッドのおかげかな」と、親友のサポートに感謝する。

 初見は55歳の時に、2008年の金秀シニア(シニア後援競技)で優勝。2012年に金秀シニア2勝目を挙げ、2020年、67歳の時に金秀シニアのひやみかちで優勝。そして昨年70歳になり、今回ひやみかちで2度目の優勝を飾ることができた。ゴルフは最後まで何が起きるかわからないが、最後にゴルフの神様が「50、60、70歳代で優勝」という「ご縁」をくれたのだった。