シニア入り1年目。韓国出身のI・J・ジャンが金秀シニアで日本シニアデビューを果たす。
2004年に韓国ツアーの賞金王タイトルを獲得。2005年からJGTツアーに主戦場を置き「ダイアモンドカップ」で初優勝。2012年、2015年には「中日クラウンズ」で優勝を重ね、レギュラーツアー通算3勝を挙げた。しかし2018年、左手首の故障でシーズンを離脱。公傷制度利用し治療に努めたが2019年以降は自分らしいプレーができず、ツアー参戦を断念したという波乱曲折なストーリーが流れる。
コロナ禍ということもタイミングが幸いした。母国韓国でトレーニングや治療、プレーをこなし、気づけば50歳という年齢が目の前に迫っていた。
「まだまだ選手として戦いたい」。そんな思いがこみ上げる。レギュラーシード選手として14年キャリアを積んできた日本では、シニアツアーという夢のステージがあることを知っていた。プロ人生・再スタート。先輩である金鍾徳(キム・ジョンドク)が、韓国人選手にレーンを敷いてくれた。
しかし、レギュラーツアーで優勝を挙げているだけでは日本シニアツアーには参加できない。外国人選考会を通過し予選会上位に入ること、もしくはプロゴルフ協会の会員であれば、シード資格を行使することができる。ジャンは2022年、プロゴルフ協会の資格認定プロテストに挑戦することを決意。最終プロテストを9位という順位でフィニッシュし、プロテスト合格を手にした。「ラッキーだったと思います。プロゴルファーを目指す若い選手ばかりでびっくりしましたからね。負けられなかった」と本音ものぞく。12月には静岡で行われた入会セミナーの受講を修了し、2023年からPGA会員となっている。
「今はこの場に来られて嬉しいんです。レギュラー時代に一緒に戦った顔なじみの選手ばかりですし、深堀さんとか街中でばったり会う選手とも、またツアーで元気な姿を確認できて、気持ちが高まりますよね」。ジャンは「久しぶり!」と先輩プロから声を掛けられるたびに頬を緩ませた。今年は米国ロサンゼルスにある自宅で、シニア入りに備えてきた。朝はジムでストレッチを中心としたトレーニング、そして打ち込み。1週間に4回程度のラウンドをこなし、この3ケ月間は身体にも無理のないベースとなる体力と技術を培ってきた。
「自分自身、久々日本のトーナメントです。コースの風は強弱があるし、風向きも日によって変わっていて、そういうムズカシイところが大好き」と白い歯を見せる。そして「これから、これから、です。デビューイヤーを楽しみたいと思います」。
期待も不安も入り混じる中、50歳以上のプロゴルファー76名、アマチュア52名による「金秀シニア」がいよいよスタートする。