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【新人戦富士可児カップ/FR】古川龍之介は「足りないものは勝ち切る強さ」とプレーオフ敗退の悔しさをかみしめる

2023年12月21日

 プレーオフ敗退という幕切れ。古川はただ「本当に悔しいです」と口を結んだ。

古川にとっては好きなタイプのコースで、準備万全にして挑んだ最終ラウンドだった。

 第1ラウンドは3バーディー・ノーボギーゲームと順調な滑り出しを見せた。最終ラウンドはスタート2ホールで連続バーディーを獲り、流れを見定めた。前半7ホール目(16番)で期間中初ボギーを叩いてしまったが、それでも冷静に自分のプレーだけを進めた。河合が後半に入りスコアを2つ伸ばすが、古川は3番をバーディーとしてなんとか1打差で食らいつく。

 河合が要所で好プレーをしていたこともあり、古川は「自分のギアを上げました」と気持ちを切り替えた。チャンスを狙いつつ、風と寒さの中でパーをつないでいった。6番で河合がバーディーを仕留め、残り3ホールで2打差に。古川はバーディーパットがわずかに決めきれないもどかしさもあったが、丁寧なルーティーンを心がけて、最後までワンショット・ワンパットに集中した。

 8番パー5で河合が1.5メートルを外し3パットボギーにして1打差で最終9番を迎えた。古川のセカンドショットはグリーン奥のバンカーに入ったが、得意のバンカーショットはピンに寄ってパーセーブ。一方で河合は2オンに成功。長いバーディートライは1.5メートルにまで寄せた。河合が決めれば優勝だったが、このパットを決めきれず、3パットボギーで、古川と河合が通算5アンダーで並びプレーオフにもつれ込んだ。

 古川にとっては、競技ゴルフを初めてから4度目のプレーオフ。これまで3戦勝ちなしという状況をなんとしてでも打破したかった。10番、18番の繰り返しでサドンデスプレーオフがスタート。2ホール目は、セカンドショットは両者グリーン手前にボールを置き、ピンまで残り約30ヤードのアプローチ勝負となった。先攻した古川のアプローチは思っていたほどボールは転がずにピン手前3メートルで止まる。後攻の河合はボールを上げて強めにアプローチし、ピン奥2メートルの距離に着ける。

 古川のパーパットはカップを外れ90センチほどオーバー。河合もパーパットは沈められなかったが、先にカップイン。古川は慎重に返しのボギーパットを打ったが、無情にもボールはカップを一筋逸れた。古川は現実を受け入れることができず、しばらく立ち尽くした。「どうして、どうして」と何度も外れたラインを読み直したが、元には戻らなかった。二人は健闘を称えあいグリーンを去ったが、口元をきつく結んだ古川の表情は、誰にも痛々しく映った。

「勝ち切る力が足りないんでしょうね。毎度プレーオフをクリアできない。本当に悔しい・・・です」と試合を振り返ったが、それでも収穫はあった。「ノーボギーゲームは逃しましたが、ボギー1つの後も、メンタルバランスを整えて最後まで冷静にゲームが出来ました。ルーティーンの作り方も丁寧に、自分の形を守ってやり抜きました。それは自信になりました」と前を向いた。

 さらに古川は「大学を卒業してプロ1年目ですが、福岡雷山ゴルフ倶楽部で練習させてもらっていますし、ゼビオグループさんのサポートもあり、今はゴルフの環境が充実しています。だからこそ、この場でプレーできていると改めて感じます」と言葉をかみしめる。最後に「みなさんから大きなサポートをいただいていることを忘れずに、絶対にこの悔しさをはらして優勝します。そして賞金王タイトルまで頑張ります」と決意を新たにし、自らを鼓舞したのだった。