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〔TCPゴールド/練習日〕「後悔しない生き方を」と会員7年目の71歳・上手喜博が3度目のゴールドシニア挑戦

2023年11月06日

 ティーチングプロ資格を持つ68歳以上の会員35名が参加する「第3回PGAティーチングプロゴールドシニア選手権大会」が、栃木県にある烏山城カントリークラブ(6,344ヤード/パー72)で、11月7日、8日の2日間行われる。一年に一度、全国から長年のプロゴルファー仲間が集まり、再会を喜びながらプレーを楽しむ貴重な時間。ゴールドの部優勝者には優勝賞金15万円と「2024年日本プロゴルフゴールドシニア選手権大会」への出場資格が付与されることも、選手のモチベーションを高める。

 ティーチングプロゴールドシニア選手権はこれまで高松グランドカントリークラブに所属する谷中宏至(75)が第1、2回大会を連勝中。当然3連覇の期待もかかるが、ハイレベルのゲームになることは間違いない。今年の最高齢出場選手は83歳の永井滉之。81歳の小川清二も参加し、80代が元気な姿をアピールするのも見どころだ。

 参加メンバーのリストに、64歳でティーチングプロ試験に合格した71歳の上出喜博の名前がある。会員歴は7年。大ベテランの先輩プロに囲まれて、のびのびと練習ラウンドを楽しんでいる姿が印象的だった。「私、島根から来たんですけどね。島根ってプロゴルファーの数が少ない。だからこうやってプロ同志でプレーできるのって、本当に刺激になります」と笑みをこぼした。島根在住の会員は現在7名。島根は東と西という地区割の中で活動をするが、エリアも広いためゴルフ活動を網羅することが難しいのだが「プロの数はね少ないですけど、元気なアマチュアがたくさんいます。生涯スポーツとしてのゴルフをする素晴らしい環境がありますよ」と、上出は胸を張った。

 昔からスポーツ少年だったという上出。サッカーから始まり、社会人の野球チームにも所属。その時にゴルフに誘われ「これは楽しい」とすっかりはまりだした。自分がゴルフをするだけでなく、いつしか先輩に頼まれてジュニアを指導する機会もいつの間にか増えだした。「そうなんですよ、気づいたらかれこれ10年くらいかな、ボランティアでジュニアの指導員をやっていました。7年後には島根で国体も開催されることになっていますし、この年月をかけてボランティアをしてきたことも県からご評価いただきまして、ゴルフの理論をきちんと把握したうえで指導を続けていきたいということで、厳しいPGAのライセンスに挑戦する決意をしたんです」と当時を振り返った。

 ティーチングプロの実技試験を受けたのが62歳。「後悔のある人生にしたくない」と奥様の理解も得られての受験だった。「西海先生も星野先生も、親身になって真の指導をしてくださいました。再試験などもあって辛かったのですが、毎日が充実していました」。上出は念願だったPGAライセンスを取得し、現在はレッスン活動に邁進する日々を過ごしている。

 島根から国体で活躍する選手、そしてプロゴルファーを輩出することが夢だという。もうひとつ、念願を叶えたいことがある。「うちの奥さんが認知症になってしまって。奥さんは、私のプロゴルファーに挑戦する夢を後押ししてくれましたし、私の両親の介護もずっとしてくれていました。私はそんな奥さんに感謝してもしきれない。だから認知症の看護も苦じゃありません。私がプロゴルファーになったことで、一緒に旅行して富士山を見たいなぁ」。

 上出は目を輝かせて夢を語った。後悔しない生き方を送るためには、今できることを精一杯やるだけ。ゴールドシニア3度目の出場も全力で戦い抜く。