60歳以上のティーチングプロ資格を持つPGA会員で競われる「第12回PGAティーチングプログランドシニア選手権大会」の最終ラウンドが烏山城カントリークラブの本丸・三の丸(6,344ヤード/パー72)で開催され、5アンダー首位からスタートしたグランドルーキー高橋正博(60)が6バーディー1ボギーの67で回り、通算10アンダーで2位に4打差をつけて完全優勝。優勝賞金20万円と、来年の日本グランドシニア選手権出場資格を獲得した。グランド優勝者には、優勝副賞としてミドリ安全より腰部保護ベルト一体型ゴルフパンツMIDORI PF1、さらに阪神交易からブッシュネルプロX3ジョルトが贈られた。
最終組でスタートした高橋の本丸1番パー5ホール。完璧に放ったティーショットはセカンド残り180ヤード地点へ。6番アイアンでグリーンを仕留めバーディー発進。2番パー3は難しい傾斜のタッチが合わず3パット。20ホール目で初ボギーにしてしまった。「仕切り直しだな」と慎重にコースマネジメントを重ね、9番パー5でようやくバーディー。前半1アンダーでターンする。
この時点で追い上げていたのが、同組の中根初男(60)。中根は前半でスコア2つ伸ばしていたが、高橋とは4打差がついていた。
後半三の丸では、高橋が10、11番と連続バーディーを重ね、ショットの精度を光らせていた。「11番パー3は、ピンまで134ヤードでアゲンストの風でしたね。9番アイアンでピン真横について完璧なショットでした」と振り返った。14番パー5でもバーディー。17番パー5はティーショット、セカンドショットをユーティリティー2番を使い、狙うエリアに球を置いて、確実にバーディー奪取。難易度の高い最終18番で、中根が12メートルのロングパットを先に沈められたが「ベストスコアを狙う」とセーフティーにパーで収め、高橋が連日67をマークし、通算10アンダーまでスコアを伸ばして圧勝。2位の中根とは6打差をつけ、高橋が見事ティーチングプログランドシニアのタイトルを手にした。
日本大学ゴルフ部時代には、烏山城で先輩の金子柱憲とダブルスを組んで試合に出場した。「三の丸の8番(本大会では17番)で、先に打った金子先輩がティーショットOBで。私は1年生だったし、プレッシャーをかけられて、このホールのティーショットを5番アイアンで刻んで打ちました。残り230ヤードのセカンドは2番ユーティリティ―を抑えめに打って、必死にバーディーを獲って優勝。今となっては学生時代の良い思い出です」と当時に思いを馳せた。
ゴルフ部時代のキャプテンは本大会に出場している加藤雄二が務め、副キャプテンには高橋。凌ぎを削った仲間と今こうして戦っていることも時代の流れを感じさせるという。大学卒業後に、栃木県にある皆川城カントリークラブで腕を磨き所属プロに就いたが、ゴルフ場の経営一新に伴い、職を離れざるを得なくなった。「ゴルフで生活をするには、レッスンのスキルが必要になる」と、2002年にティーチングプロ資格を取得。埼玉県熊谷市にある「リバーサイドゴルフ練習場」とは縁があり、トーナメントプレーヤーでレッスンができるプロとして就職。実力あるプロゴルファーのレッスンは評判を呼び、スクールを任されるまでに至った。
高橋はかれこれ30年レッスン活動に専念しているが「シニアツアーで活躍している地元埼玉の仲間とまた試合で戦ってみたい」という思いも頭の片隅にある。「久保さん、山添さん、秋葉さん、崎山さん、清水さんといったシード選手は、すでに試合が生活のメイン。私はメインが練習場で生活の軸が違いますが、ゴルフを通じて交流があるので、それはすごく刺激になっています。ゴルフのレベルアップに取り組み続ける理由があります。いつかツアーシードを手に入れたい」。
実力はお墨付き。54歳の時に埼玉オープンで優勝していることも、まだまだ挑戦意欲を駆り立てる。高橋の練習場に訪れる選手もいるといい、合間をみては一緒に練習も重ね、夢のシニアツアー出場をひそかに描いている。「まずはシニア予選会を通過し結果を出すこと。久保さんのように60歳を過ぎても叶えられることがある」。88打席、230ヤードのスケールを持ち合わせるリバーサイドゴルフ練習場。レッスン活動を軸にしつつ、仲間の活躍するシニアツアー挑戦に向けても始動する。