栃木県にある烏山城カントリークラブで「第12回PGAティーチングプログランドシニア選手権大会」(6,344ヤード/パー72)が11月7、8日の2日間、60歳以上の56名で競われる。烏山城ではこれまで2012年の日本プロ選手権を始め、数々のティーチングプロ競技会が開催されており、TCP選手権(06、08、10)、TCPシニア選手権(09)、TCPグランドシニア選手権(19、20)と歴史を重ねているチャンピオンコースである。
ティーチングプロとしてこれまで33年間レッスン活動に従事しているというのが多田泰善(64)。22年大会では11位、21年は4位、烏山城で開催した20年大会では7位と相性の良い大会でもある。今年こそはと秘策も用意。「もう老眼もあるし、視力もだいぶ低下してきたし、コンタクトも合わなくなってきたからね。2週間前に思い切ってスポーツタイプのメガネに変えてみたんですよ。ヌートバーと同じタイプ(笑)。メガネにしたらストレスも少ないしね、効果がでるといいね」と白い歯を見せた。
多田はかつて明治神宮外苑ゴルフ場に35年勤めていたが、練習場の閉鎖に伴い、レッスン環境も変わった。現在は週4日、千葉の「新君津ベルグリーン」ゴルフ場をメインに、週2日は東京の目黒にあるゴルフ練習場でレッスンをしている。「ほぼ休みはないですよ。でもレッスンに来てくださる生徒さんが大勢いますし、それは人生の張り合いでもあります。20年、30年を超えてレッスンに通ってくださっていて、二世代にわたってお付き合いのある方々もいます。ゴルフを通じて家族のような関係でいられるのは、ゴルフの仕事だからこそ得られる魅力なんですね」と充実感をかみしめる。
東京でのレッスンは朝7時からスタートするため、自宅の君津を早朝に出発。「朝早いですけど、みなさんが上達を願って朝から駆けつけてくれる。だからこそ私もこういう試合の時には、生徒さんに向けても良いゴルフを示そうと気合も入る。だからこそ一年に一度、この選手権出場が楽しいしね、やりがいになっています」。ティーチングプロ中でもトップクラスの技術をもつプレーヤーと時間を共有するこの大会があることで、仕事にも精が出る。
烏山城のようなチャンピオンシップコースは、油断するとスコアもすぐ落ちる難易度の高いゴルフ場だからこそ、自分の実力を確かめることができる。「とにかくベストを尽くせるような二日間にします。生徒さんにも教えを示したい」と口元を引き締めた。長年にわたりレッスンでゴルフの大切さを伝えながら、自分の実力を試せる一年に一度の大会がまもなく開幕する。