東京2020ゴルフ競技会場メディアデー記者会見
2020年東京オリンピックのゴルフ競技会場に関するメディア向け説明会が2019年2月25日、会場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部にて行われ、53社110名のメディアが集まった。会場にはJGAオリンピック・ゴルフ競技対策本部強化委員会委員長を務める倉本昌弘PGA会長と副委員長の小林浩美LPGA会長、そして2020東京企画・準備委員会委員でプロゴルファーの中嶋常幸氏が3ホールをプレーしてコースを説明した。プレー終了後には東京2020組織委員会の関係者やコース関係者も加わり記者会見が開かれた。
左から小林プロ 樋口プロ 中嶋プロ 倉本プロ
ゴルフ競技が開催される霞ヶ関カンツリー倶楽部は、圏央道「圏央鶴ヶ島インター」から5キロの距離にあり、鉄道の駅も近隣に四つ存在し交通の便に恵まれた場所に位置している。フィールドとなるコース内もフラットな地形に設計されたコースで観戦もし易く、コースへの移動からコース内における観戦までギャラリーにとって優しいコースであると言えるだろう。コースの歴史を紐解くとオリンピックが開催される東コースは1929年に竣工し今年90周年を迎える。1930年にはゴルフ場設計で世界でも名高いアリソン氏によって改造が加えられ10番ホールに象徴されるバンカーが示すとおり戦略性が増した。1957年にはカナダカップ(現ワールドカップ)を開催。中村寅吉と小野光一日本人ペアが団体優勝を成し遂げ、個人戦でも中村寅吉が優勝したことにより日本のゴルフ熱が一気に高まり第一次ゴルフブームを起こした。そして、オリンピック会場として決まったことにより、東日本震災の影響で延期していたコース改造を前倒し、トム・ファジオ、ローガン・ファジオ親子により2016年に全面改改造がなされた。倉本はプレー終了後のテレビインタビューで「コースの状態は良い。当日を迎えるのが楽しみ」。そして霞ヶ関カンツリー倶楽部でキャプテンを務める大野了一氏は改造した結果について「距離を確保するもののフレームは変えないというのがコンセプト。プロ競技とアマチュアが一緒に楽しめるコースにしたかった」と語っている。
プレー中の倉本強化委員長
次に日本人選手の活躍に期待がかかるところではあるが、「メダルを取るチャンスはある」と倉本は答える。これは、オリンピック選手に選ばれる男子の選考方法にある。世界ランキングに基づく五輪ランキングの上位59名と開催国から1名の合計60名に資格が与えられるが、一カ国の人数に制限があり、世界ランキングの上位にランキングされていても参加出来ない選手が現れるといった現象が起きてしまう。つまり、国を代表する選手でも世界ランキング下位に位置する選手も出場してくる可能性があることからメダルを取る可能性が高まるということなのだ。ゴルフだけでなく他の競技でも同様のケースがあり世界各国から選手が集まるオリンピックという競技の性質上に起因することではあるが、日本人選手にとってはメダル獲得の可能性が高まることは間違いない。
記者会見中の倉本強化委員長(左)
また、PGAは競技会に対するサポートも忘れていない。それはボランティア派遣である。組織委員会からプロ3団体(PGA、LPGA、JGTO)に対しボランティア派遣の依頼がありPGAは2018年11月に全てのPGA会員(約5600名)に案内したところ約100名を超える応募があった。倉本は「我々が生きている中では今後東京で開かれる可能性は少ないと思うので是非成功させましょう」と会員に呼びかける。