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【全英シニアオープン・3R】ヒメネスが猛チャージで首位。井戸木は18位

2016年07月24日

井戸木はリンクスに苦しめられた

全英シニアオープン」の第3ラウンド。11位スタートのスペイン出身ミゲル・アンヘル・ヒメネス(52)が、7バーディノーボギーで一気にスコアを伸ばし11アンダーで単独首位。7アンダー首位タイスタートの井戸木鴻樹(54)は、1バーディ5ボギーの77でスコアを5つ落とし、通算2アンダーで18位という位置で最終日を迎える。日本勢で予選通過した崎山武志(53)は、スコアを8つ落とし、69位と出遅れた。◇ 大会公式ページは こちら>> (ヨーロピアンシニアツアーページ・英語)

ラインの読み通りにパットが決まったヒメネス

スペインを代表するベテラン選手が、リーダーズボードのトップに踊りでた。ヒメネスだ。まるで4日間72ホールの長い戦いを自ら演出し、主役になったような流れのある展開だった。「今日は、ティーからグリーンまで、すべてがパーフェクトにいった。私が、このゴルフの原点であるリンクスコースで勝てるのであれば、それは本当に幸せなこと」とヒメネスは語った。ヒメネスはヨーロッパツアーのレギュラー15勝をあげていて、最後の優勝となった2014年のスペインオープンでは、50歳133日という最年長レコードを持つ。50歳から参加しているPGAツアーチャンピオンズでは3勝をマーク。欧米両ツアーを通じて、数多くのタイトルを持っているヒメネスだが、メジャーで勝ったことがない。辛抱強く、このチャンスを待っていた。「私は、12年前から、ようやくプロゴルファーとして活躍ができている。今まで何度もチャンスを逃してきましたが、メジャータイトルは欲しいです。だけど、明日勝つために、何か違うことをすることはないです。今夜も、大好きなシガーとワインを楽しんで、明日はいつも通りに、フィジカルトレーラーにいって身体を動かし、いつも通りにドライビングレンジで練習をするだけです。明日はどうなるかわからない。だけど、ベストを尽くします」と、ヒメネス。焦りは見られない。プロゴルファーとして、日頃勝つために準備してきたことを信じるだけ。その飄々としたプレー態度には、裏付けされたゴルフの技術と技量がある。先週の全英オープンでは18位という成績を残しているヒメネスが、果たして最終日、最終ホールまで主役を演ずることができるか。

井戸木には苦しい3日目となった

一方で、首位タイスタートの井戸木は、昨日のように流れのいいゴルフができずに苦しんでいた。1番パー4では、1メートルのパーパットを外してボギースタート。しばらくパーセーブでしのいではいたが、「何かタッチが合わない」と、不安が出てきた。12番のパー5でようやくバーディ。しかし、14番から4連続ボギー。17番では、3メートルのパットをミスし、3パット。本人もばつの悪い77で第3ラウンドを終えた。「やっちゃいましたよ。リンクスの罠にはまりました。なんだか、何をやってもうまくいかなかったね。うーん、昨日のようにポンポンと球が転がらないんですよ。今日はスタート時間がかなり遅いので、昨日のようなコースコンディションとは違うのかなぁ。やっぱりリンクスなんですね。簡単にはパーを取らせてくれない」と、井戸木は悔しがる。リンクスの怖さが、ここにある。それを十二分に味わう1日だった。

「明日はいっこずつ、自分のテンポでやります」と井戸木

強い風は朝から吹いていた。その風は、コースの中で強弱をつける。井戸木は、ショットのたびに変わる風向きの読みが今日は難しかったようだ。18番パー4のセカンドショットは、グリーン奥を狙って3番ウッドを選んだ。しかし、球はグリーンの手前に落ち、ピンまで20メートルの距離を残した。それでもパーセーブで、ようやくボギーの連鎖を断ち切った。その時々の風で、縦の距離が大きく変わる。「セカンドの距離が最後まで合わなかった。寄せも効かなかった。リンクスはこういう日が1日は出ます。ただね、パッティングのタッチは悪くない。あと1日あるし、4つ、5つとバーディを獲って、成績上位で大会を終えたい」。井戸木の活躍が、世界の注目を再び集める日は、そう遠くなさそうだ。

崎山も世界の難コースに苦しめられた

日本勢でもうひとり、予選通過している崎山は、リンクスの難しさを味わう厳しい1日となった。3番パー4では、2打目をグリーン手前のクリークに入れてしまいダブルボギー。そこから、不安な気持ちが出てしまった。「ラインも読めてないから、パッティングが決まらない。それがストレスになってしまって・・・。そうなると、どうしてなんだろうと、ああすればいいのかと、頭の中が不安要素でいっぱいになります。ショットにまで悪い影響が出てきましたね」と、振り返る。10番パー4では、ティーショットがポットバンカーに入った。近い距離にもポットバンカーが待ちうけていたので、後ろに出すという選択しかなく、このホールもダブルボギー。「入れてはいけないバンカーでした。いいショットが、リンクスの罠にかかります。小さなひとつのコブの転がり方ひとつで、大きくスコアが変わります。本当に難しいです」と、崎山は悔しがる。初出場の全英シニアオープンでは、多くのリンクス経験を積んでいる。最終日は、ひとつでも順位を上げて、笑顔でホールアウトをしたいところだ。◇ 大会リーダーズボードは こちら>>

カーヌスティに吹くリンクスの風はいつも変化する

井戸木は届かないショットに苦しんだ

同組のジミー・カーターからも刺激を受けた崎山