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【全米プロシニア・FR】 混戦を制しメディエイトが初のメジャー優勝

2016年05月30日

完全試合でメジャー優勝を決めたメディエイト

77th Senior PGA Championship」(全米プロシニア)の大会最終日。上位は混戦していたが、トーナメントリーダーのロッコ・メディエイト(53)が、6バーディ1ボギーの5アンダー66をマーク。トータル19アンダーとし2位のコリン・モンゴメリー(52)に3打差をつけて、今年の全米プロシニアを制覇した。日本勢は、室田淳(60)が19位、崎山武志(53)が51位という順位で大会を終えた。

4日間モンゴメリーとの厳しい攻防戦だった

最終日。首位と5打差に10人がひしめいていた。大会3連覇を狙うモンゴメリー、クラブプロとして健闘を見せるダルコロッボ、そしてトム・リーマン、ブラント・ジョーブ、デービッド・フロストそしてベルンハルト・ランガーといったベテラン選手が上位に名前を連ねていた。1ホールごとに、順位も目まぐるしく変わっていった。モンゴメリーが15番バーディを奪い、一時はその差が、2打差まで縮んだ。メディエイトが優勝を確信したのは、17番ホール、パー3だった。ティーショットを手前のガードバンカーに入れた。圧巻だったのは、そのバンカーショットだった。いつも練習をしている下りの傾斜で、打ったボールはカップに向かって転がっていった。次の瞬間、歓喜が沸き起こった。見事なバーディだった。2位と3打差に戻した。そこでメディエイトは優勝を確信した。「決して完璧なゴルフをしたということではなく、その中にあるたひとつひとつの要素が、この優勝につながったということ。家族やPGAアメリカ、そしてPGAプロたちがこの優勝を導いてくれたんだと思う」とメディエイトは言った。

メジャーで優勝するには何か意味があるとメディエイト

PGAツアー、チャンピオンズツアーの両ツアーを通じて、初のメジャー優勝を飾ることができたメディエイト。ショートゲームとパッティングの精度が、最後の最後まで求められた大会だった。そして、メディエイトの技が光り、記録尽くしの大会となった。大会初日にマークした9アンダー62ストロークは、1961年にバック・ホワイトが63ストロークを出して以来の最小ストロークだった。大会2日目、36ホール終了後の14アンダー、128ストロークは、それまでジャック・ニクラウスが1991年に12アンダー132ストロークという数字を出して以来の、新スコアだ。54ホール終了後の14アンダー199ストロークは、2012年のロジャー・チャップマンと同最小スコアだ。そして、優勝スコアの265ストロークは、1973年にサム・スニードが最小スコアの268をを3打も塗り替える記録を残しての勝利だった。

強い気迫でスタートした室田

室田にとっての最終日は、パッティング、アプローチに苦しんだ日となった。4番をボギーとしたが、続く5番、6番で連続バーディ。昨日はイーグルを取った9番でバーディとし、前半は2つスコアを伸ばした。後半に入ると、10番、11番で連続バーディ。13番をボギー。14番でバーディパットを決めてスコアを戻した。15番のパー5では、セカンドをグリーンカラーまで運びイーグルチャンスだったが、寄せきれずにパーセーブ。17番、18番とボギーで、本人にとって後味の悪い内容で4日間を終えた。

最後まで諦めないという強い信念で戦った

「もう、そろそろアメリカへの挑戦も終わりかな。神様がもう休めっていってるんじゃないの?それにしても、今年はアプローチショットがどうにもならないよ。パッティングも変えないとだめだな・・・アメリカは、井戸木くん、崎山くん、米山くんにがんばってもらえばいいよ」。この4日間、室田のプレーを見ていた後輩たちは、アメリカでの気迫に圧倒されたに違いない。最後に室田は「今回こそ、笑顔で最終ホールを終えたかった」と、悔しそうにつぶやいた。室田は納得のいくゲームマネジメントでないと、決して満足しない。だから、できなかったことに対しては、ただ自分を責める。それでも、今年の全米プロシニアで残した成績は19位となった。帰国後は、日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills へ出場予定。引き続き、シニアとレギュラーの連戦が続く。

悔いなくプレーを目指した崎山

最終ラウンドは、スタートから4連続ボギーという波乱の幕開けとなった崎山。「ショットもパットも思うようにならなかった。たいがいのショットが左へ流れるんです。ボールの位置なのか、スタンスの取り方なのか」と、だんだんとストレスがたまる。あっという間に4オーバーだ。6番に来て、パー4のセカンドがピンに当たり、ようやくバーディ。「打ち方を少し変えてみようか。気分を変えて、最後の思い出つくりに、帯同キャディのクインからアドバイスを聞いてみよう」と、思った。日本で崎山は、キャディにラインを聞くことはめったにない。ゴルフは自己責任のゲームだと知っているから、キャディのせいにはしない。だけど、コミュニケーションを図ってみることにした。そしたら「気持ちがなんだか軽くなった」し、ゴルフの楽しさがみえたようだ。そのかいあってか、9番から3連続バーディ。一気にスコアが戻った。あとは、やるべきことに向き合うだけだ。

「(スコアが)落ちたところで、何が原因で何をクリアしなければと、もがいていましたね。スタート直後からどんどん落ちて、底からはいあがるというのは、相当大変な一日になります。このコースのように、ピンを直接狙えないショットを打たないとならないという状況は、今まで経験がないです。だから、狙いどころにしっかりと打っていかないと。1つ間違えたら、ボギー以上のリスクがありますから。こういうコースで通用するような、たとえば、3ヤードとか5ヤードを決められる距離感のショットが必要でしたね。課題もみえました」。

崎山は、全米プロシニアの戦いに備えてきた。飛行機に長時間乗り、外国での不慣れな生活のなかで、試合に参加するということは、相当なストレスがかかる。結果はもう少しだったというのが崎山の本音だが、アメリカの地で、ゴルフを心から楽しむ人々と触れ合うことができ、感動した。次は、8月の全米シニアオープンに備えるつもりだ。崎山のメジャー挑戦は、まだ始まったばかりだ。◆大会オフィシャルページは こちら>> (PGA.com)