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【全米プロシニア・1R】 メディエイトが9アンダー首位。崎山が2アンダーで30位スタート

2016年05月27日

崎山は「自分のゴルフをするだけ」

米国ミシガン州で開催されている「77th Senior PGA Championship」(全米プロシニア)の大会初日。PGAツアー6勝、チャンピオンズツアー2勝をマークしているロッコ・メディエイト(53)が大会コースレコードタイの62をマークし、首位スタート。3連覇を狙うコリン・モンゴメリー(52)は、4アンダーで5打差の10位タイ。日本人選手の最高位は、大会初出場の崎山武志(53)が2アンダーで30位。2013年本大会優勝者の井戸木鴻樹(54)は、1アンダーで43位。◆大会オフィシャルページは こちら>> (PGA.com)

R・メディエイト

メディエイトは前半9ホールでは29をマーク。そして、62ストロークという数字は、チャンピオンズツアーでも、今年の最小スコアという記録になった。62ストロークは、2012年の全米プロシニアの最終日に、ケニー・ペニーがたたき出した好スコアだ。「今日は、自分のゴルフを信じて、手堅いゴルフに徹した」という。昨晩から降り続いた雨で、グリーンは例年にない柔らかさだ。「距離のコントロールがしやすいし、グリーンは止まるし。最高のコンディションだから強い気持ちでやるしかない」と、メディエイトは振り返る。そして、モンゴメリーとペリーというベテラン選手と同組になったことに対しても「メンバーとしては好都合です。私にとって素晴らしい選手とのプレーすることは、彼らの好スコアについていくという目標ができるからです」と、ポジティブに考えていた。その結果が、初日バーディ量産につながった。

崎山武志

日本人選手で初日最高の30位で終えた崎山。日曜にコース入りしてからずっと「ワクワク感がすごい強いんですよ」と、夢に描いていた米国シニアメジャーでの戦いに、嬉しさを隠せない様子。しかし、2アンダーの初日スタートを、崎山は素直に喜んではいなかった。バーディチャンスはあったのに、チャンスをものにできなかった悔しさでいっぱいだった。バーディが5つ、ボギーが3つ。3パットが2回、ヤーデージの計算ミスもあった。もっとスコアを伸ばせたはずだった。「自信もって打てればいいんだと思います。その自信から逃げてしまったんですね。このコースは、しっかりと考えて打つこと。自分から逃げたら、ショットはハザードに必ずかかってしまうし・・・あと、2つ3つ伸ばせたはず。自信がないとことは、緩んだショットになって、ボギーという結果が出るんです」と、悔しさをにじませた。

崎山武志

安全に攻めようと思うと、逆に危険が待ち受ける。冒険を覚悟でワンポイントで狙っていかないと、バーディは獲れない。逃げるほどに危険が迫るというのが、このコースのセッティングと大きな特徴だ。崎山はこの大会で、自分の力をきちんと試したいという思いがあるから、逃げることは禁物なのだ。その勇気と決断が難しい。「明日は5アンダーくらいを目標にします。1打1打、自信を持って、自分を信じ切って打てるように、がんばります」と苦しさを語りながらも、どこか崎山は嬉しそうに話した。思い描いていたフィールドに、ようやく立てたんだと、嬉しさが表情に現れた。

井戸木鴻樹

本大会の歴代チャンピオンの1人である井戸木は、パッティングに首をかしげる。「ほんと下手。パターが下手」と、ホールアウト後も悔しそうにつぶやく。ショットの安定感は抜群だ。グリーンも外さない。ただ、どうしてもパットが決まらない。「あと一筋ってところで届かない。入らない。それはストレスですよ。レギュラー時代の調子に戻った感じ。悔しい。でも、こればっかりは信じてやるしかないからね」と、悩みが尽きない様子。井戸木にとっては、パッティングのタッチが合えば、一気にビッグスコアを出せるほどのショットの好調ぶりが、期待される。それでも、13番のパー3で、3メートルのバーディパットが決まった。思わず、ぐっと上を向いた。素直に笑みがこぼれた。続く14番もバーディ。井戸木の本調子が戻るのも、時間の問題だろう。日本選手の代表としてプレッシャーはかかるが、負けるゴルフはしないのが井戸木だ。日本ツアーで11勝をマークしている、シニアルーキーのテッド・ハミルトンとは、昔から知っているプレーヤー同士。同組で刺激し合いながらも、面白いゲーム展開に期待がかかる。

室田淳

この大会に10回目の参加となる、室田淳。室田は、米国に到着し翌朝からも、しっかりと練習ラウンドをこなし、ドライビングレンジに向かい、休む時間さえ作らない。それが安定した強さの秘訣であるし、アグレッシブなゴルフをしっかりと展開する。室田はスタートホールから2連続バーディを奪取し、大会のアドバンテージをとるかと思われた。しかし、今回はショットごとに首をかしげ、両手を背中に当てるシーンが多い。「なんだか腰の辺りが痛いんだよね。それでかばって打つんだけど、飛距離がすごく伸びちゃうから、距離感が合わないんだよ」と話す。「世界の強豪選手たちと、難しいコースでプレーをすることは、自己研鑽だ」と、室田は若いシニア選手たちに説く。その思いは、今でも変わらないし、まだまだ挑戦し続けたい。苦しい状況下だが、室田はこの大会での予選通過記録を、重ねたいところだ。

米山剛

ホールアウト後の第1声が「なんだか、はちゃめちゃな内容ですよ」と、大会初出場の米山。言葉にするのは簡単だが、本人にとっては、こんなに思い通りにいかないゴルフも、悔しい思いが募る。それでも、チャンスは何度もあった。ショットが不安な部分は否めないが、パッティングは長めの距離も入る。「ほんとに難しいコースですけど、プレーのしがいがあります。今わかっている課題にきちんと取り組んで、明日は少しでもスコアを延ばせるようにと思っています」と、米山はすぐにドライビングレンジに向かった。この大会は、まさにパワーだけではなく、ある程度のパワーに加えて、精緻なショットやパッティング技量。そしてゲームマネージメントと、ゴルフゲームが本来、秘めているすべての要素をしっかりとこなさなければいけないと要求しているところが目立つ。62というビッグスコアは、その成果でもある。だから2日目から選手たちは、その可能性を目指してチャレンジしてくる。そんな気迫がコースを覆っていた。