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◆日本シニアOP・FR◆ 激戦を制し平石が嬉しいシニア初優勝

2015年11月01日

平石は公式戦でシニア初優勝を飾った

第25回日本シニアオープンゴルフ選手権大会(JGA主催競技)の大会最終日。誰もが欲しいタイトルを狙い、攻めるプレーが展開された。鉄人の室田淳(60)、渡辺司(58)、そして最終組スタートの平石武則(55)とシニアルーキーの米山剛(50)という4選手が最後まで激しい上位争いをみせたが、18番ホールで絶妙なアプローチをみせ、バーディフィニッシュを飾った平石が、9アンダーで逃げ切り、シニア初優勝を飾った。1打差の単独2位に、米山が入った。◆ FR成績は こちら>>◇ 最新のシニアツアー賞金ランキングは こちら>>

室田がいよいよ猛追を始めた

最終組の2組前の室田淳、清水洋一の組がスタートして、3ホールが終わり、室田が、2、3番とバーディを奪って、一気に6アンダー。ギャラリーから「やっぱり室田が出てきたよ。流れは、室田かな」と声が聴こえてきた。それは、次の組の渡辺司が、2番でボギー。最終組の米山が3番でボギー。平石はスコアが伸びず、室田の勝ちパターンになるかもしれないという最近の傾向もあった。室田は、さらにスコアを伸ばして、7、9番をバーディ。前半を終えて通算8アンダーで折り返した。ところが、ゲームの行方が、まったく読めなくなった。それは、渡辺が9番でイーグルを奪って、5アンダー。さらに米山が、6、7、8、9番の4連続バーディを奪って8アンダー。平石は、1ボギー、1バーディで、足踏みの8アンダー。3人が、8アンダーで並んだ時間がやってきた。

米山の連続4バーディは圧巻だった

米山のショットが冴え渡っていた。しかも「パッティングも好調でした。やっぱり、勝ちたいという気持ちが乗っての4連続バーディになったのだと思います」と語る。冷静なプレーを続ける平石。室田は、パッティングに悩まされながらも、なんとか喰らいつき、優勝を奪おうという気迫がある。米山は「ホントに久しぶりの優勝争い。この位置でこの場で戦える、という楽しさでいっぱいでした」と同じ8アンダーでも、微妙に心情が違っていた。米山のゴルフの流れを変えてしまったのは「やっぱり13番での3パットですね。あれでブレーキがかかったことは確かです」と言う。室田も、パッティングが決まらない。インに入って、10番から14番までの5ホールがパー。そして15番ではボギー。さらにパー、ボギーとしてリーダーに追いつくことができなかった。

渡辺も最後まで我慢のプレーを続けた

平石は、1番、そして14番でバーディを奪って、10アンダー。その時点で、米山は、7アンダー。室田は、7アンダー。渡辺が6アンダー。3打差リードで、残り3ホールとなった。ところが、今回のゲームは、これで終わらない。それは平石が、16、17番と連続ボギーを叩いた。一気に8アンダーに戻った。米山が、7アンダー。渡辺が17番で会心のバーディを奪って7アンダー。一方で室田は、17番でもボギーを叩き、行方は、3人のプレーに絞られた。先に、渡辺が18番にやってきた。しかしバーディがとれずに、パーで終了し、7アンダーのままでホールアウト。最終組を待つ。「ミスが多かったね。そのミスのせいでスコアに結びつかなかったね。今日も、厳しいピンの位置で、それい対して、安全に行こうと思えば、バーディが獲れないし、上の方につけちゃうとボギーになっちゃうし。今回は、ホントの意味で、能力が試される試合だったと思う」と言い残した。

思いどおりのショットだった米山

最終組、最終ホール。もし、米山がイーグルを奪えば、9アンダー。平石が、バーディを奪えば9アンダー。プレーオフという状況だ。平石がパーだったら、米山の逆転優勝が決まる。米山は、果敢に2オンを狙った。残り、239ヤード。「クリークを持ちました、グリーン手前からピンに転がって寄っていくというイメージで打ちました。はい。思い通りのショットです」ボールは、ピン手前3メートルに止まった。そして、平石の第3打である。114ヤード。PWを手にした。「打つ前は、これは(渡辺)司とヨネ(米山)の3人でプレーオフになるな」と思っていたという。

最後の最後まで戦い抜いた平石

ところが、第3打地点で、アドレスをとると「何かが降りてきた気がする」と言った。実は平石は「米子(鳥取県)に、赤猪岩(あかいいわ)神社という、再生の神様を祀る神社があって、2年前からお参りさせてもらっています。15番のチップインとか、18番のベタピンとか、これも何かあるんじゃないかな。ありえないようなことですから。御札も絵馬も持っています。『ツアー優勝』『ツアー復帰』と書いてきました。ここに来るときも、挨拶してきました。今回は、息子にも、いいところを見てくれて、ほんとに良かったです」。

応援にきてくれた息子と立った優勝ステージ

平石が、首位に立っているとしって、総支配人をしていた大山ゴルフクラブの理事長や社長も、そして嫁の弟夫婦と俺の兄貴と、町内会の人も、みんな応援に来ていた。「『こけるから来ないで下さい』って言ったんですけど(笑)」。優勝が決まって、グリーンを離れると、息子がいた。父親にしがみついて泣きじゃくっていた。平石は、息子の頭を撫でながら、スコアカード提出所へと向かっていった。その光景が、18番グリーンの近くで輝いていた。レギュラー時代に優勝したKBCオーガスタから数えて、14年振りとなる嬉しい優勝だった。シニア入りしてから様々な苦節もあったが、ようやく平石の努力が実った笑顔の瞬間となった。