全英シニアオープン」の最終ラウンド。前半は、首位スタートのミゲル・アンヘル・ヒメネス(52)がメジャー初制覇かと思わせる展開だったが、後半10番ホールで、ヒメネスのボールが池に入り、ダブルボギー。一方、イングランド出身のポール・ブロードハースト(50)は、バーディを奪取。勝負は最終ホールに持ち越され、ヒメネスがダブルボギー。ブロードハーストがパーセーブし、4バーディノーボギー、11アンダーでシニアメジャー初優勝。18位タイスタートの井戸木鴻樹(54)はスコアを3つ落とし、通算3オーバー30位。崎山武志(53)は69位で大会を終えた。

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勝負は最後の最後までわからない。首位スタートのヒメネスは、4番でバーディパットをはずしてから、パッティングのタッチがあわなくなってきた。そして、勝負の分かれ目は10番ホールだった。ヒメネスのボールが、木に当たり、クリークに入ってしまった。アンラッキーだった。ヒメネスはこのホールで、4日間の中で、初めてダブルボギーを叩いてしまったのである。逆に、ブロードハーストは、このホールをバーディとし、9アンダーで並んだ。


続く11番ホールでは、ヒメネスがバーディで逆転という2人の攻防は、最終ホールまで、熾烈な争いが続いた。2位に4打差つけていたヒメネスは、1打差を追う形で最終ホールを迎えた。
第2打は、ふたりとも右のバンカー。先に打ったヒメネスのボールは、大きくグリーンを超えてしまった。寄せきれずに、まさかのダブルボギー。

そしてブロードハーストはきっちりとパーパットを沈め、大きくガッツポーズを3回した。逆転優勝だ。シニアルーキーのブロードハーストは、昨年のヨーロピアンシニアツアー、Prostate Cancer UK Scottish Senior Openで優勝し、今回2度目の優勝もスコットランドで飾っている。1990年のセントアンドリュースで行われた全英オープンで63のトーナメントレコード・タイ記録を持っているとおり、「リンクスコースは大好き」という彼の実力を発揮した。




全英シニアオープン
優勝を決めた瞬間。感極まるブロードハースト【拡大写真】


ブロードハーストは、ヨーロピアンツアーで6回優勝しており、また1991年のライダーカップのメンバーで、実力も兼ね備えている選手だ。しかし、2012年の全英オープンを最後に、ツアーから身を引いた。「もう少し、自分のゴルフゲームの精度をあげようと思ったので、4年間はそのことに専念していました。今回の優勝は、まさかとは思いましたが・・・ラスト4ホールくらいから優勝争いになっていました。勝つことは意識していませんでした。ただ、自分がいいゲームをすることを目指していましたから。また、キャディを務めた15歳の息子にも感謝しています。どれだけ、私の心を落ち着かせる言葉をくれたのでしょうか」と、ブロードハーストは自分の境遇を振り返った。そして、カーヌスティのリンクスに感謝した。見事な優勝だった。



最終ラウンドも、井戸木はパーセーブが精一杯だった。リンクスのうねるようなフェアウェイは、狙いどころが大体決まっている。崎山も井戸木も、練習ラウンドを重ねていたせいか、ティーショットで球を落とす位置が、ほとんど同じような場所だったのは、はじめのゲームの組み立てができていたからだろう。さらにセカンドショットから、より精度の高いコントロール力と勇気が試される。


2番パー4では3パットボギー。5番パー4では、大きなガードバンカーに入れてボギー。井戸木の我慢が続いた。後半に入ると12番、13番でようやく連続バーディ。15番パー4のティーショット。ボールは左のラインに出て、ギャラリーロープを越えて、直接ヒースに入った。悔しいアンプレヤブルだった。このホールをダブルボギー。最終18番では、ティーショットの当たりは悪くなかったが、フェアウェイマウンドのキックが悪く、ボールは左のセミラフへ。井戸木は、アイアンで刻んだ。リスクを避けられなかった。スコアは75。通算3オーバーの30位でこの大会を終えた。




井戸木は振り返る。「いやー、カーヌスティは難しい。ゴルフは難しいと思わせる。15番で、出たこと無い球が出たのには、自分でもびっくりした。コースに向き合うプレッシャーが、よっぽど強かったんだと思います。ボギー、ダブルボギーになるリスク(ポットバンカー)をどうしても避けたい気持ちでした。・・・逃げすぎましたね」と話す。


最終ラウンドで必要だったものは、第2ラウンドのいい流れのときのように、開き直る気持ちとか、攻める気持ちだったのかもしれない。「それにしても、予選ラウンドとはうって変わって、この2日間は、ピン位置がかなり難しかった。バーディチャンスにつけられませんでした。悔しさは残りますが、来年も、リンクスの戦いに戻ってきます。今回、2日目でトップに立てたので、これからも世界で(優勝の)チャンスがないことはないですから」。と、井戸木は笑顔を見せた。




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崎山は初めてのリンクスと懸命に戦った【拡大写真】


大会3日目の終了後、崎山は「明日の最終ラウンドは、根性みせます」と言ってスタートした。でも、どうしても空回りしてしまう。リンクスでは、心の動きや動揺が、つぶさにスコアに表れてしまう残酷さがある。


「初めての全英シニアオープンでしたが、すべてのゴルフが精一杯で、楽しむ余裕は無かったです。もっと堂々とプレーしたかったのが本音です。それでも得るものは多かったです。夢だったシニアメジャーへの参戦が叶い、世界のトップ選手144名の中でプレーができました。144名の色んなゴルフがあって、その技量が試される。自分のゴルフでは、リンクスに要求されるものが、少しわかった気がします」と、初参戦の感想だった。




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今回の経験を糧に次に生かしたいと崎山【拡大写真】

「1本のクラブで、状況に応じて、技の引き出しを作っておくこと。特にウェッジの技が必要でした」と崎山は反省点を語った。転がす技に加え、しっかりとライン出しができるアプローチだ。崎山にとって初めてのリンクス、初めての全英シニアオープンというメジャーは、ほろ苦い体験となった。けれども、世界の強者たちが、リンクスの攻略に情熱を燃やし、それを経験することによって成熟していったことは、歴史が伝えている。


最終18番で、球はグリーンから転がり出たが、最後ウェッジできっちり寄せてボギーで収めた。「『(自分の)技のあるゴルフ』で、来年戻ってきて、なんとかリンクスコースを攻略したいです。グリーン回りは、ウェッジで寄せるのが、僕のゴルフです」そう言って崎山は、コースを去った。


井戸木と崎山は、来週参加するマルハン太平洋シニア、そして8月の全米シニアオープンと、試合が待っている。今回の経験を糧に、活躍を期待したい。


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